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 最近、電機・IT(情報技術)業界で多くの注目を集める眼鏡型や腕時計型などのウエアラブル端末。米グーグルの「グーグルグラス」や韓国サムスン電子の「ギャラクシーギア」をはじめ、電機・IT(情報技術)大手が相次いで新製品を発表していることで、業界内には「ポストスマートフォン」の本命と見る向きもある。

 ただし、ウエアラブル端末の研究が始まったのは30年近く前のこと。この間、実用化に向けた研究開発は飛躍的に進んだものの、未だにバッテリー駆動時間の短さなど、多くの課題を抱える。いったいいつになれば本格普及が始まるのかという疑問については、まだ誰も明確に答えられていないのが現状だ。

 パソコン世界最大手、中国レノボ・グループの楊元慶CEO(最高経営責任者)はウエアラブル端末について「斬新な商品として賞賛したい」と認めつつも、「どちらかというと『おもちゃ』に近く、当面は大きな市場にはならない」と本格普及には懐疑的だ。電機・IT大手がこぞって参入しておきながら、その将来性について、これほど評価の分かれる製品領域も珍しい。

「ウエアラブル・バブル」の正体

 「ウエアラブル端末は不動産ビジネスに似ている」というソニーの平井一夫社長兼CEOの最近の発言は、そんな電機・IT業界の雰囲気を象徴している。

 平井社長曰く、スマホやタブレットであればポケットや鞄に入れて複数台を持ち運ぶことも珍しくないが、腕時計型のウエアラブル端末を2台同時に身に着ける人はいない。「いったん陣取りできてしまえば、それが大きな参入障壁となる意味で、ウエアラブル端末は不動産ビジネスに近い」のだという。

ソニーが今年9月に発表した腕時計型端末『スマートウォッチ2』

 ただ、ソニーがこれから取得しようとしている「腕」や「頭部」などの“不動産”がどれほどの価値を持つのかについては、平井社長から今のところ明確な説明はない。とりあえず他社が陣取り合戦に参入している以上、ソニーとしても遅れをとることはできないという焦燥感が、「ウエアラブル端末は不動産ビジネス」という発言の背景にあるようにも感じる。おそらくこうした経営者らの思惑が絡み合い、本来の実力以上の期待を集める今日の「ウエアラブル・バブル」が形成されているのだろう。


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