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サマーズ氏が放ったバブル必要論の矢

「長期停滞」にさらなる緩和の道をゆく先進国

2013年12月2日(月)

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 米上院銀行委員会は、来年2月からの米国金融政策を仕切る責任者にジャネット・イエレンFRB副議長を就任させる人事を、共和党3議員の賛成も含めて14対8で承認した。上院本会議での採決もほとんど問題なさそうだ。

 副議長からの昇格は初めてであり、女性FRB議長の誕生も初めてである。最近では、ラガルドIMF専務理事就任、メルケル首相再選、ケネディ駐日大使赴任など女性の活躍が目立っており、オバマ大統領のレームダック化が進む中でヒラリー・クリントン氏の名前も注目材料として散見されるが、中でもイエレンFRB議長の就任の話題がやはり飛び抜けているように見える。

 同氏を超ハト派の「市場の守護神」と見る金融界が、議長就任を大歓迎していることも明らかである。何といっても5-6月のバーナンキ議長の発言に右往左往した各国市場は、イエレン氏が「市場との対話法」を修正してくれると願っている。だが新議長の今後4年間の任期における政策運営は、それほど容易ではないだろう。

米国経済を「長期停滞への可能性」と一刀両断

 それを暗示したのが、イエレン氏とのFRB議長争いから自ら退却したサマーズ氏である。サミュエルソン教授やアロー教授の姻戚関係でも知られる元財務長官のサマーズ氏は、大物経済学者としてだけでなく、NEC(国家経済会議)委員長などを歴任してオバマ政権に極めて近い政治的影響力を持つ。

 次期議長の最有力候補に挙げられながらも、その傲慢な性格が災いしてあちこちで摩擦を起こして顰蹙を買い、上院の承認が得られないリスクを察知して、自ら身を引くことを大統領に伝えたと報じられている。だが、サマーズ氏の言動はいまなお内外に強い影響力を放っている。

 最近特に目を引いたのが、11月上旬にIMFで同氏が行った約16分間のスピーチである。ちなみに最近の情報技術発達のメリットの一つが、海外に出向かずともこうした講演を聴くことができるようになったことだ。コーヒーを啜りながら、日本株の動向を眺めながら、自宅のPCを前にして著名なエコノミストの話を聞くことができるのは、出不精の筆者にとっては本当に便利である。

 そのサマーズ氏のふてぶてしい態度の講演は、お世辞にも好印象とは言えなかったが、その意味するところは極めて興味深いものであった。特に同氏が今日の米国経済を形容する際に使った「Secular Stagnation(長期停滞)」という表現は、1930年代にアルヴィン・ハンセン教授が指摘した構造問題のタイトルであるが、それはいま我々が薄々感じている「経済停滞からなかなか抜け出せない感覚」をズバリと言い表したように聞こえた。

 サマーズ氏は、内外メディアが「景気回復」「FRBは緩和出口模索」といったニュアンスで語る米国経済の状況を「長期停滞への可能性」との言葉で一刀両断に斬って見せたのである。これには多くのエコノミストやメディアが即座に反応し、ブログの世界ではいまなお賛否両論が飛び交っている。

 現在の米国市場は、好調な企業決算と底堅い業績見通し、そして前述したイエレン副議長による金融緩和の長期継続見通しというまたとない順風を受けて、株式市場は史上最高値を更新し続けている。年末に向けて利食いに動く向きもあろうが、市場は下値を待ち構えている投資家で溢れ返っているように見える。

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「サマーズ氏が放ったバブル必要論の矢」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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