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本格的な「独立財政委員会」の議論を

改めて財政再建について考える(下)

2013年11月27日(水)

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 このコラムでは、日本の厳しい財政事情について解説してきた。今回は「なぜ財政再建は先延ばしされ続けるのか」という問題を考えてみよう。

 先に結論を言ってしまうと次のようになる。財政の厳しさはなかなか一般の人々に認識されにくく、財政の実情と一般認識との間には大きな「認識ギャップ」がある。政治はその一般の人々の意識に応えようとするので、財政再建への政治的対応はどうしても不十分なものになるということだ。

財政についての典型的な質問

 財政についての一般の人々の認識と実態との間には大きな認識ギャップがあるということを示すために、ここでは、「一般の人々」の代表選手として、私が教えている学生諸君の考えを取り上げることにする。

 前回の本コラムでは、日本の財政事情が国際的にみても群を抜いて厳しい状況にあること、それに対応する政府の財政再建目標は存在してはいるものの、その実現はかなり困難であることを述べた。私は、全く同じことを大学の授業で話した。私の授業では、最後にコメントや質問を回収しているのだが、この話をした後にはかなり多くのコメント・質問が出た。それは一般にもしばしば聞かれる典型的なものだと思われるので、いくつかを紹介して、それに対する私の回答を述べてみよう。

 まず、「なぜこんなになるまで放置していたのか」という質問が出た。私の方が答えを知りたいくらいだが、私の回答は「やがて皆さん自身が同じ質問を受けることになります」というものだ。

 前回述べたように、政府は、まずはプライマリー・バランスを2020年度までに黒字化しようとしている。ということは、現時点ではプライマリー・バランスは大幅な赤字ということだ。プリマリー・バランスとは、現時点での税収と一般的な歳出(国債費以外の歳出)バランスが赤字だということだ。ということは、現時点で我々自身が借金を増やしているということだ。

 現時点における債務が全て過去の人々のせいであれば、「何でこんなことになったのだ」と文句を言ってもいいだろう。しかし当の我々自身が借金を増やしているのだから、文句を言う資格はない。我々が自らの借金をなくさないと、将来の世代が同じ質問を我々に向けてくることになるはずだ。

 次に「危機的な姿はよく分った。危機感を煽ってばかりいないで、どうすればいいのかを教えてほしい」という質問が来た。そんなに大変なことになっているのであれば、評論家みたいに解説していないで、どう行動すべきかを考えろ、ということのようだ。これに対する答えは結構難しいが、私の答えは「その先は自分で考えてください」というものだ。

 財政赤字を減らす方策は誰が考えても同じであり、歳出を削るか、歳入を増やすしかない。歳出を削れば政府から得られるサービスの水準は低下するし、歳入を増やすために増税すれば国民負担は増える。いずれも面白くない話ではあるが、財政を再建しようとすればそれを実行するしかない。誰かに教えてもらって初めて知ったというような秘策は、そもそも存在しないのだ。

コメント7件コメント/レビュー

感情的な反発を受けやすいテーマを継続的に発信されている点に敬意を表します。しかし、一国の政治の質は国民全体の知的レベルに依存しており、殊に経済に関する日本人の知識レベルは欧米に比して非常に低いと常々思っています。それは、本稿に対するコメントのレベルの低さからも感じ取れます。日経ビジネスオンラインを閲覧するような、経済・ビジネスに関心ある読者であってもこの程度の認識であるということは、この問題が帰結する先は残念ながら自明のように私には思われます。とはいえ、全体がそのような状況であっても、個人でリスクヘッジをすることはできるはずです。私は奇跡や結果オーライがあり得ないと言うつもりはありませんが、奇跡を前提に物事を考える訳にもいきません。経済・金融の有識者の方々は、一部ではあっても真剣に懸念を抱いている人たち(同調者と言ってもよいかもしれません)に対して、シートベルトの締め方を説かれるべき段に来ているのではないでしょうか。(2013/11/27)

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「本格的な「独立財政委員会」の議論を」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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感情的な反発を受けやすいテーマを継続的に発信されている点に敬意を表します。しかし、一国の政治の質は国民全体の知的レベルに依存しており、殊に経済に関する日本人の知識レベルは欧米に比して非常に低いと常々思っています。それは、本稿に対するコメントのレベルの低さからも感じ取れます。日経ビジネスオンラインを閲覧するような、経済・ビジネスに関心ある読者であってもこの程度の認識であるということは、この問題が帰結する先は残念ながら自明のように私には思われます。とはいえ、全体がそのような状況であっても、個人でリスクヘッジをすることはできるはずです。私は奇跡や結果オーライがあり得ないと言うつもりはありませんが、奇跡を前提に物事を考える訳にもいきません。経済・金融の有識者の方々は、一部ではあっても真剣に懸念を抱いている人たち(同調者と言ってもよいかもしれません)に対して、シートベルトの締め方を説かれるべき段に来ているのではないでしょうか。(2013/11/27)

誰によってこんな借金大国になり、その原因となった人たちはどのような責任を負うべきか、の議論がほかでもないのはなぜでしょう。(2013/11/27)

痛みを強いられて死ぬことになる人間もいるわけですが、そこを財政再建と比べてすごく軽く考えてますよね。足りないのは覚悟ではなく痛みに耐える経済的な体力です。(2013/11/27)

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