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無責任な小泉元首相の「脱原発」発言

冷静かつ定量的な議論が必要

2013年11月29日(金)

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 新たなエネルギー基本計画の議論が大詰めを迎える中、ある人物の発言が物議を醸している。小泉純一郎元首相による「脱原発」発言である。

安定供給の確保に不可欠なバーゲニングパワー

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で進められている、新たなエネルギー基本計画の策定に向けた議論に大きく影響することは、おそらくないだろう。とはいえ、小泉氏の発言は、やはり国民、世論への影響力が大きい。現在は一私人だが、国家を代表していた元首相である。だからこそ、責任を持って、もう少し慎重に発言していただきたい。

 小泉氏が「脱原発」の最大の根拠としているのが、使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の問題だ。しかし、もう少し冷静かつ定量的に議論すべきだろう。

 仮に、震災前と同程度に原発が稼働し、日本の総使用電力量の約3割、年間約3000億キロワット時を供給するとしよう。その場合に発生する使用済み核燃料は年間約1000トンだ。比重が10程度なので、体積にすれば約100立方メートルである。10年間では約1000立方メートルで、1辺10メートルの立方体に収まってしまう。もちろん、ひとかたまりにするわけにはいかないので、実際には、もっと大きなスペースが必要になる。だが、とてつもない大きさが必要というわけではない。原子力は巨大なパワーを発生するにもかかわらず、廃棄物が極めて少ないのが特徴である。

 一次エネルギーを輸入に頼らざるを得ない我が国が、エネルギーの安定供給を確保するには、多くの選択肢を持つことでバーゲニングパワー(交渉力)を高めなくてはならない。そのためには、これまで一貫して述べてきたように、原子力は一定量、維持すべきというのが、わたしの考えである。このことの重要性を考えれば、決して「即時、原発ゼロ」などと無責任に発言することはできないはずである。

 小泉氏は、「脱原発」を唱えると同時に、その代替として、再生可能エネルギーの推進を主張している。だが、太陽光や風力など、天候に左右されて発電量が変動しやすい再生可能エネルギーは、原子力と同じベース電源としては使えない。

 一方で、昨年7月に始まったFIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)をはじめ、既に政府は再生可能エネルギーの導入推進策を積極的に進めている。常々わたしが主張してきたように、FITは“劇薬”であり、効果も大きいが、弊害も出てきている。FITの“光と影”である。

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「無責任な小泉元首相の「脱原発」発言」の著者

柏木 孝夫

柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)

東京工業大学特命教授

経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会の分科会長、同調査会基本政策分科会の委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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