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国際投資協定に見直しの動き

米国に相次いで反旗翻し始めた途上国

  • ジョセフ・E・スティグリッツ

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2013年12月2日(月)

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 「グローバル化は特定の国や集団を利することにしかならない」と、かねて「自由貿易は必ず繁栄をもたらす」というグローバル化を巡る通説に疑問を投げかけてきたノーベル経済学賞受賞の米経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏。現在、TPP(環太平洋経済連携協定)を筆頭に世界各地で様々な国際投資協定を巡る交渉が活発に進んでいるが、米国がこれまで発展途上国と結んできた投資協定については、むしろ見直しの動きが進んでいるという。従来の協定は、進出企業が途上国政府の規制や課税を逃れるために利用されてきたうえ、投資協定は実際には海外投資の呼び込みに役立ってこなかったためだと指摘する。

 今年3月に来日した際も、「自由貿易協定はどれも『自由』な貿易協定ではない。すべて管理された貿易協定だ。米通商代表部(USTR)は米国の特定の業界、企業の利害を代弁して動く。よってTPP交渉において日本は自らの主張をしっかり行い、タフな交渉をすべきだ」と強調していた。1993~2007年までクリントン大統領の経済諮問委員会(CEA)のメンバー(97~2000年はCEA委員長を務める)として、ウルグアイ・ラウンド交渉に携わり、「貿易協定、国際投資協定の本質を知った」(スティグリッツ氏)という。

 今回のスティグリッツ氏の指摘は、米国が途上国と結んできた国際投資協定に関するものだが、TPP交渉でヤマ場を迎える日本にとっても紛争解決方法の在り方など、細心の注意を払うにこしたことはない。

(石黒 千賀子)

 国際投資協定を巡るニュースが最近、活発だ。米国は現在、欧州連合(EU)と米欧FTA(自由貿易協定)、そしてアジアなど10カ国とTPP(環太平洋経済連携協定)という2つの大きな貿易協定の協議を進めているが、その交渉の中で厳しい条件の投資協定を相手国に呑ませようとしている。

 だが、各国は、こうした米国の動きに抵抗する姿勢を強めつつある。

実態は現代版の不平等条約

ジョセフ・スティグリッツ氏
1943年米国生まれ。米アマースト大学卒、67年米マサチューセッツ工科大学にて経済博士号取得。95~97年クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、1997~2000年世界銀行のチーフエコノミスト。2001年にノーベル経済学賞受賞。現在は米コロンビア大学経済学部教授。2011年に米誌「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる。『世界の99%を貧困にする経済』など著書は多い。

 南アフリカ共和国は、これまで自動更新されてきた各国との2国間投資協定をいったん見直す方針を決めた。一部の国との協定については撤廃を明言している。これらの協定は、アパルトヘイト廃止直後に結ばれたものだ*1

*1=一例は、米国と1999年2月18日に提携したTIFA(Trade and Investment Framewrok Agreement)で、南アは2012年6月18日に新たに改定したTIFAに署名した。

 エクアドルとベネズエラは、既にいくつかの協定を破棄した*2。インドは米国との投資協定*3について、紛争解決の仕組みを改正しない限り署名しないとしている。ブラジルは、はじめから投資協定を結んでいない。

*2=エクアドル政府は2009年2月に、ベネズエラ政府はオランダとの二国間の投資協定を解消すると2008年に通告したが、実際にその効力が発するのは2023年という。オランダとの投資協定を廃棄したのは、ベネズエラへの海外からの投資の多くはオランダに設立された子会社を通じて行われてきたことがある。
*3=インドと米国は2国間の投資協定を巡り2008年から交渉しているが、紛争が発生した際の解決方法を巡り両国は合意に至っていない。

 各国が投資協定に対して抵抗を示すのには十分な理由がある。米国内においてさえ、労働組合や環境保護団体、健康推進団体、開発監視団体などのNGO(非政府組織)が、米国が他国に提案している投資協定の内容について、異議を唱えている。

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