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日本で「1円玉不要論」は広がるか?

物価目標「2%」を共有するカナダとの比較論

2013年12月5日(木)

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 「1円玉」について、日本とカナダで対照的なニュースが出ている。それぞれの国の民衆が抱いている「金銭感覚」に絡む話であり、同時にそれは、インフレ期待が弱いか、強いか、の違いを象徴的に示しているエピソードだと言えるので、今回はこのテーマを取り上げてみる。

 まず1つ目は日本のほうの話題から。独立行政法人造幣局が1円玉および5円玉の本格的な製造を久しぶりに再開するというニュースだ。

損を出しても発行を増やす日本

 電子マネーやクレジットカードで少額の支払いを行う人が増えたことから、1円玉や5円玉の市中における流通高は、この5年ほど目立って減少している。市中から日銀に1円玉が戻ってくるようになってきたわけだ。そこで造幣局は流通目的の本格的な製造を、1円玉については2010年度から、5円玉については09年度からそれぞれ取り止めてきた。今は収集家向けの貨幣セット(写真参照)に入れるためだけに少量を製造しているにすぎない(13年度はそれぞれ100万枚だけを製造)。

このところ1円玉や5円玉は収集家向けの貨幣セットのためだけに製造されていた

 ところが、来年4月に消費税率が3%引き上げられることになり、その後には10円未満の端数が出る現金での支払いや釣り銭の受け取りが、これまでよりも増えることが確実と見られる。

 1989年4月に消費税率が3%で導入された際には、端数がつく支払いの増加によって1円玉や5円玉の市中流通残高が急増した経緯がある(図1参照)。この経験から、担当部局である財務省理財局は、金融機関や小売店への必要量の聞き取り調査の結果なども踏まえて、2014年度に1円玉や5円玉をどのくらい製造するかを決めるそうだ。発行量は数億枚の規模になるとも報じられている。

 もっとも、日本の1円玉は現在、「逆ザヤ商品」になっている。「最近は原料になるアルミニウム地金の価格が高く、1円玉の製造コストは2~3円。『つくればつくるほど採算割れの状況』(理財局幹部)」(11月29日付の日本経済新聞)、「1円硬貨はアルミニウム製で、重さはぴったり1g。アルミ地金の価格は1kg当たり200円台の前半で推移しており、1gに換算すれば0.2円強となる。1円硬貨を鋳つぶしても利益は出ないが、鋳造コストが1~2円ほどかかっているとの見方が多く、作れば作るほど赤字が膨らむ『製品』なのだ」(「日経ビジネス」10月28日号)などと報道されている。

 ドル建てで取引されているアルミニウムの国際商品市場では、新興国の景気低迷などから供給過剰になっているうえに、一部報道によると、ロンドン金属取引所(LME)による規則改正が売り材料になっているようで、価格が下落基調にある。だが、円安・ドル高の進行で円建て価格が上がりやすいことに加え、上記のように原材料以外のコストの方がはるかに大きいとすると、年初に比べて15%というアルミニウム相場の下落程度では、「逆ザヤ」は到底解消しない。

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「日本で「1円玉不要論」は広がるか?」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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