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特許マネジメントが下手な日本

知財戦略を欧米に学べ

2013年12月12日(木)

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 現在、NHKで「太陽の罠」というドラマが放映されている。保有特許を武器に企業に不当な要求を突きつける「パテントトロール」が、太陽電池関連の特許にしかけた落とし穴から物語が始まる。

 このドラマはフィクションだが、今後のグローバルビジネスでは「特許戦争」と呼ばれる大きなリスクとチャンスが同居している。日本では、どちらかと言えば特許を攻撃的な手段として活用するよりも防御的な手段に考えている。だが、パテントトロールが日本企業に忍び寄る公算は大きいと見るべきだろう。

 パテントトロールではないが、スマートフォンやタブレット関連の特許で、米アップルと韓国サムスン電子が訴訟合戦を繰り広げているのはご存じだろう。今年の11月中旬には米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁が、サムスンに対して約2億9000万ドルの支払いを命じる評決を下した。アップルがサムスンに対して3 億7980 万ドルを支払うべきと主張、一方のサムスンは賠償額が5270万ドルにとどまると反論していた訴訟に対する判断だ。

 アップルとサムスンの特許訴訟は、米国だけでなく韓国や日本、欧州の至るところで展開されている。これまでは、どちらかが一方的に不利という状況ではなかった。今回の米国での判決は、今後の双方の特許訴訟に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 1年ほど前、英国でも両社による特許訴訟で1つの判決が出た。内容は「サムスンのデザインは、アップルほど格好良くないので特許を侵害していない」というもの。デザイン戦略を展開してきたサムスンにとって、特許侵害をしていないという判決は出たものの、デザイン性を否定されたことが関係者にはショックだったと言われている。

 一連の特許訴訟が意味するのは、世の中にない商品や機能、デザインなどが大きな知財を育くみ、それが後の巨大なビジネスに繋がることだけでなく、2番手以降のプレイヤーにとってはリスクの伴うビジネスであることだ。

材料設計は電池メーカーに任せる

 サムスンの特許訴訟の例だけでなく、知財で痛い目に合うケースは枚挙に暇がない。1990年代半ばにはニッケル水素電池で、日本は米国に苦汁を飲まされた。ニッケル水素電池のコア技術である水素吸蔵合金である。文字通り、水素を取り込むことができる金属であり、電極の1つである「負極」に用いられる。

 筆者がホンダで電池研究機能を立ち上げた1991年には、既に日本勢は先進電池としてのニッケル水素電池ビジネスを民生用途で確かなものにしていた。当時の松下電池や三洋電機、ユアサコーポレーション、東芝といった電池大手が世界を制しており堅調なビジネスを展開していたのである。

 ニッケル水素電池の事業が本格化するきっかけは、1970年代にオランダ・フィリップスが水素吸蔵合金を発明したことに遡る。その技術の応用で、日本がいち早く電池事業まで進めた技術力は、「電池立国」日本ならではの成果である。1997年、カリフォルニア州の法規対応としてホンダが市場に投入した最初の電気自動車(EV)「ホンダEV PLUS」にも、ニッケル水素電池が搭載されている。

 ホンダにおける電池開発は、当初は松下電器産業との共同研究であり、後に松下電池工業との開発へと発展していった。一方で、ホンダでも筆者が中心となり、水素吸蔵合金の材料開発を単独で実施していた。

コメント2件コメント/レビュー

>まったく馬鹿げた特許請求を社内の知財担当者が独断で申請し登録に至っていた個人的にはこの点が気になります。特許出願には技術情報が含まれますので、まともな会社ならば研究部門や開発部門のチェック無しにはできません。ましてやホンダのような会社ならば、稟議等の手続がしっかりと確立されているはず。仮に部門長や上司がろくに書類に目を通さずにはんこを押したりしていたならばそれは知財担当者だけの責任ではないでしょう。また、最後に中村修二さんの件を挙げておられますが、日本の職務発明の扱いが国際的に見ても従業者よりになっているだけで、米国なら契約で定めていれば訴訟を起こす余地もありませんよ。職務発明規定等があっても納得いかなければ裁判で争えるとしている日本が特殊なだけです。(2013/12/12)

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「特許マネジメントが下手な日本」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>まったく馬鹿げた特許請求を社内の知財担当者が独断で申請し登録に至っていた個人的にはこの点が気になります。特許出願には技術情報が含まれますので、まともな会社ならば研究部門や開発部門のチェック無しにはできません。ましてやホンダのような会社ならば、稟議等の手続がしっかりと確立されているはず。仮に部門長や上司がろくに書類に目を通さずにはんこを押したりしていたならばそれは知財担当者だけの責任ではないでしょう。また、最後に中村修二さんの件を挙げておられますが、日本の職務発明の扱いが国際的に見ても従業者よりになっているだけで、米国なら契約で定めていれば訴訟を起こす余地もありませんよ。職務発明規定等があっても納得いかなければ裁判で争えるとしている日本が特殊なだけです。(2013/12/12)

日本の会社の特許でも、出願時に呆れるほど広い範囲を主張し、拒絶されては書き直しを繰り返してかなり減縮される例はありますよ。(2013/12/12)

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