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散髪から彷徨は始まる

2013年12月12日(木)

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「髪切った?」

 というのは、タモリの常套句……というよりは、もっぱらタモさんのモノマネをするときに使用される常套句である。

 世の中の、とくに一般人のモノマネの大半は、オリジナルのモノマネではなく「評判になったモノマネ芸人のマネ」であるから、もはやタモリに似てようが似てまいが、世間ではこのフレーズを発したとたん「ああ、タモリのマネね」と(しかたなく)認知されることになっている。

「ま、このー」といえば田中角栄。
「いわゆるひとつの」といえば長嶋茂雄。
「なんだこのヤロー」といえばアントニオ猪木。

 本物の本人による発言頻度はともかく、モノマネの拡散というフィードバックによって、それは確定していくのだ。

 ただ、こういうフックとなるフレーズを最初に抽出した人はえらいと思う。
 誰もが聞いていて、誰もが無意識に「いかにも◎◎らしいフレーズ」と感じていたにもかかわらず、言葉にし得なかったことを「発見」したのであるから。

 その共感がなければ、芸もウケないだろうし、そのあとの踏襲や拡散もない。

 モノマネされている当人は気づいていないかもしれないが、あるいは反撥するかもしれないが、これらのフレーズ(どれもたわいのないモノが多いのが特徴だ)には、その人をその人たらしめている人間性や思想がきっと凝縮されているのだ。

 誰もが見聞きしていながら、しかし、なかなか拾えなかった、という意味では、街中にふつうに存在する物件に芸術を発見する「トマソン」もそうだし「老人力」や「ゆるキャラ」もそうだといえるが、大量に消費されるようになると、それはもはや元々の意味というか、抽出する際にあった諧謔を込めた批評性のような視点がどこかに飛んでいってしまう。

 わかりやすいフレーズや行為や形だけが一人歩きする。

 森進一のモノマネも、オリジナルの森進一はもはやどうでもよくなっていて、70年以前に「象印スターものまね大合戦」あたりで既に確立していたと思われる「森進一のモノマネ法」を起点とした独自の進化をとげて今日に至っているのは、よくご存じの通りだ。

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「散髪から彷徨は始まる」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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