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アベノミクスで駆られる「巣籠もり」の誘惑を払拭せよ

ラッパを吹くだけでは社員は踊らない

2013年12月20日(金)

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 日経ビジネスがこのほど発売した『日経ビジネス総力編集「徹底予測2014」』。毎年末に翌年の経済や産業の行方を大胆に占うこの特別版に連動した特別企画として、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の現日本代表である御立尚資氏と、元代表の内田和成氏(現・早稲田大学ビジネススクール教授)が登場。2人がリレー形式で、新年の潮流を鋭く読み解く。

 今回からは2回にわたって元代表の内田氏の論考をお届けする。2014年に、日本企業は困難を伴う海外事業のアクセルを踏み続けられるか否かを問われると語る。

(構成は小林佳代=ライター/エディター)
日本の株式市場は2013年に世界の株式市場の中でも際立った上昇を見せた(写真:ロイター/アフロ)

 2014年、日本企業を取り巻く環境はどう変わるでしょうか。

 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉が妥結すれば、ビジネスには様々な影響が及びます。輸出企業の業績を左右する米国景気の行方も気になります。中国の国内情勢も懸念材料。悪化すれば対日強硬策はもっと強まるでしょう。

 こうした「当面の問題」が日本企業に及ぼす影響は甚大かつ直接的で、誰もが関心を寄せていることでしょう。ですが、私はあえて少し長期的かつ広い視点で、日本企業の課題を指摘したいと思います。

 2014年、日本企業が直面する課題として真っ先に挙げたいのが「海外事業のアクセルを踏み続けられるか否か」という点です。

 2012年末に誕生した安倍晋三政権が進めた「アベノミクス」効果で、国内景気は回復傾向にあります。2020年の東京オリンピック開催が決まり、さらに勢いづきました。ただ、私はこれらのことが、逆に企業の舵取りを難しくしていると考えています。国内事業と海外事業をどうバランスを取るか、迷いが生じている企業が見受けられるからです。

 つまり、景気が上向いたことで「国内事業でいける」「国内だけでも何とかなる」という空気が出てきてしまった。実際、鉄鋼、素材など素材系で内需型の企業は、国内景気が盛り返してきたことに伴ってグローバル化のアクセルを若干緩めたように見えます。

 私は今こそ、日本企業はグローバル化のアクセルを踏み続けるべきだと思っています。グローバル化には様々な困難が伴います。未知の領域で市場のことがよく分からず思わぬ損失を被るかもしれない。ビジネス習慣や文化の違う人材を育成し、マネジメントしていくのは非常に難しい。各国の思いがけない経済・政治・社会的状況で事業が続けられなくなるかもしれない――。

 様々なリスクが思い浮かび、誰もが多少、躊躇するものです。そういうタイミングで国内景気が上向けば、「国内でいけるところまでいこう」という気持ちが芽生えてもおかしくありません。特に2期4年といった短期政権で終わる可能性がある経営者の場合には「リスクを負いたくない」という意識が働く可能性があります。

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「アベノミクスで駆られる「巣籠もり」の誘惑を払拭せよ」の著者

内田 和成

内田 和成(うちだ・かずなり)

早稲田大学ビジネススクール教授

慶応義塾大学ビジネス・スクールでMBAを取得。日本航空を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。2000年6月から2004年12月まで BCG日本代表。2006年4月から現職。。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長