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排他的な宗教なんか必要ではない

古代の宗教の風習が生き残っているイラン

2013年12月19日(木)

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 「冬至」を祝福する国が世界には数多くあります。1年の中で一番寒い季節の始まりとされるこの日を祝うなんて、どうも訳なの分からないことです。しかし、人生を意味する「太陽」は古代人にとって、なくてはならないものでした。それゆえ、1年で最も長い夜をみんなで祝いながら、日の出を楽しみにしたのでしょう。

 東洋で「陰陽」として知られている思想は、古代のインド・イランに共通するミスラ神(ミトラ)の信仰に相当するのかもしれません。イランのミスラ教において太陽は、契約・約束、友愛の神です。(ちなみに、古代ペルシア帝国と古代ローマ帝国が交流する中で、ミスラ教は西洋に伝わりました。西洋ではミトラ教と呼ばれます。この信仰がローマ帝国の統治下で発展したので、現在はミトラ教の方がよく知られています)

 ミスラ教の信者たちも冬至を祝いました。冬至を境に「光」が「闇」に勝つからです。冬至までは、夜がずっと長くなり、日が短くなります。この様は彼らにとって、悪を代表する「闇」が善を代表する「光」に勝つイメージでした。しかし冬至になるとこれが逆になります。善である日が段々長くなります。

 ミスラ教の信仰者たちは「善」の勝利を喜び、火を灯し、朝までパーティーをしました。冬至はペルシア語で「ヤルダー」と呼びます。その意味は「誕生」です。「太陽」の誕生!

 イスラム教が広まったことで、現在のイランに、ミスラ教の信者はほとんど居ません。しかし、ミスラ教に由来するいくつかの風習がいまだに残っています。その1つは、「ヤルダー」の夜です。イラン人は今でも冬至の夜になると、家族みんなで集まり、夜を一緒に過ごします。昔のように、おじいさんの家に集まり、晩御飯を一緒に食べます。食卓に登場するのはスイカとざくろとナッツです。

人間は死の恐ろしさに怯えてきた

 「死」という恐ろしい結末は、わたしたち人間にとって、いまだに正体の分からない現象です。人類はどうしても永遠に生きていたいと考えてしまいます。「来世で生まれ変わる」という輪廻の考えは、人間の恐怖感と欲心から生まれたのではないでしょうか。

 死についての問いかけが始まったのは昨日、今日の話ではありません。世界的に有名な詩人であるウマル・ハイヤームが10世紀に次の詩を詠んでいます。

  • 魂がはなれていくことを忘れてはいけない。
  • 消滅(死)の謎々しい世に陥ることに決まっている。
  • どこから来たのかさえ分からないから酒を飲め!
  • どこに行くかも分からないから今の人生を楽しめ!

 また、イランの詩人、ハイヤームの詩集「ルバイヤート」を小川亮作氏が翻訳したこんな作品あります(関連記事:「イラン人は『詩』を愛してる!」)。

  • 生きてこの世の理を知り尽くした魂なら、
  • 死してあの世の謎も解けたであろうか。
  • 今おのが身について何も分からないお前に、
  • あした身をはなれて何がわかろうか?

 この詩は「人間は、どこから今の世界に来たのか、そして、死んだ後どこに行くのか分からない」ということを言っています。こうした思いから、人間は様々な思想を作りました。例えば、自然の力に気がついた古代人は神を信仰するようになりました。太陽、風、水、山、雷、日、夜などを善と悪の神として信仰し始めました。

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「排他的な宗教なんか必要ではない」の著者

サイードレザ

サイードレザ(えってはでぃー・さいーどれざ)

コラムニスト・翻訳者

イラン生まれ。テヘラン大学外国語学部日本語学科卒業。韓国のインハ大学院政治・国際関係を専攻。現在、東アジアを中心にイランの通信ネットワークにて記事を寄稿。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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