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逆進性緩和効果の低い軽減税率

2013年12月24日(火)

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 結論としては、2015年10月の消費増税に対して何らかの形での逆進性への配慮が必要な場合、軽減税率の導入は適切ではないと考える。

 そもそも、可処分所得対比で見れば、それほど逆進性は大きくない。その理由としては、非消費支出の項目を見ると、所得税や住民税が累進課税となっているためである。事実、総務省「家計調査」を用いて、年収階層別にどれだけ消費税率2%引き上げに伴い負担が生じるかを試算した。参考のために、いわゆる額面である実収入対比と、そこから直接税や社会保険料を除いた可処分所得対比のそれぞれについて試算すると、実収入対比では確かに逆進性が検出される。それに対し可処分所得対比では、消費税に逆進性があっても、直接税の累進性で調整されており、結果的には実収入対比ほどの明確な逆進性は検出されない。

消費税2%引き上げによる年収別負担増
(出所)総務省「家計調査(2012年)」をもとに第一生命経済研究所作成

 こうした中で、軽減税率は最も必需性が高い食料品などの税率を優遇するため、国民にとっては一見分かりやすい逆進性対策に映る。しかし、所得の低い世帯では、それだけ食料品などに支出する金額が少なく、軽減税率に伴う実質的な還付額も小さくなってしまう。逆に考えると、それだけ軽減税率の対象を広げれば、支出額の高い高所得世帯に実質的な還付額が増えることになる。

 特に、EU(欧州連合)諸国には多くの示唆がある。注目すべき点は、EU諸国ではすでに軽減税率を導入している国が多いが、多くの問題点が指摘されていることである。

 まず、軽減税率の適用範囲を合理的に設定することが困難であるため、業界を挙げての議論となり収拾がつかなくなる可能性がある。また、軽減税率に伴い事業者の事務負担が増加するという問題がある。実際に、食料品は軽減税率であっても、食料品を生産するためのエネルギーや設備などは標準課税となる。このため、取引により税率が異なり、そのための事業者や当局の事務コストが増加する状況に陥る。さらに加工食品などについては、食材は軽減税率でもその他の部分は標準税率となるため、軽減税率を導入しても加工食品の価格は上がらざるを得ない。

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「逆進性緩和効果の低い軽減税率」の著者

永濱 利廣

永濱 利廣(ながはま・としひろ)

第一生命経済研究所主席エコノミスト

日本経済研究センター、東京大学大学院経済研究科修士課程等を経て、2008年4月から第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト。経済統計、マクロ経済の実証分析を専門とし、内外経済の長期予測を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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