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影が薄れた社会保障改革に潜むこれだけの不安

2014年1月6日(月)

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 前を向くのはいいけれど、後ろを忘れた前のめりはちょいと困る。

 「アベノミクスによる景気回復の実感を広く行き渡らせるために」と打ち上げた2014年度税制改正大綱は、「年末恒例の」という以上の騒ぎだった。時期はともかく軽減税率の導入を決め、設備投資促進の減税、復興特別法人税を1年前倒しで廃止、果ては大企業の交際費を50%まで非課税…と、第3の矢(成長戦略)をつがえる弦を深く深く引き絞ってみせた。

 だが、税制改革がとりあえず前に進む一方で、歩を緩めて次第に目立たなくなり始めているものがある。本来、税と一体であるはずの社会保障改革である。

 税制改正大綱の議論が激しさを増し始めた12月初旬、社会保障制度改革の工程を定めたプログラム法が静かに成立した。民主党政権以来の社会保障と税の一体改革の中締めとして、2013年夏に有識者を集めて開いた社会保障国民会議で策定した「改革への報告」に続くものといえば少しは思い出されようか。

いつの間にか後退した国保改革

 子育て、医療、介護、年金の社会保障4分野に渡って2014~17年度の間に何をしていくかを定めたというわけだが、さらに点検してみると、影の薄さ以上の不安もかすめる。

 例えば医療分野。柱の1つに国民健康保険の改革がある。国保は国と都道府県、市町村から4兆9000億円もの公費が投じられているが、毎年約3000億~5000億円の赤字を垂れ流している。しかも、財政責任を負って運営する保険者は、国、都道府県より財政力の弱い市町村である。

 その不安感は国保の現実に少し分け入れば、重みが分かる。当然ながら、地域によって人口構成に違いがあるから、高齢者の多い市町村は医療給付費も膨らむ。公費を除くと給付費の半分を保険料で賄っているのが現状だから、同じ所得でも医療給付費が多い地域ほど1人当たりの負担は重くなる。所得の低い地域では、絶対額はともかく、保険料率は高くなりがちにもなる。

 結果、同じ都道府県内でも市町村によって保険料負担額に、2倍以上の格差があることも珍しくないというほどだ。

同じ地域でも格差は大きい
同一都道府県内の市町村間の最大・最小保険料格差
格差(倍) 都道府県
2.8 東京、長野
2.5 秋田
2.4 北海道、鹿児島
2.3 奈良、沖縄
2.1 宮城
2.0 愛知、京都、和歌山、高知
1.9 青森、茨城、埼玉、愛媛、大分
1.8 岩手、山形、福島、山梨、静岡、三重、兵庫、熊本
1.7 栃木、群馬、新潟、福井、岐阜、滋賀、岡山、広島、徳島、福岡
1.6 山口、長崎、宮崎
1.5 千葉、島根、香川、佐賀
1.4 神奈川、石川、大阪、鳥取
1.3 富山
出所:2010年度、国民健康保険事業年報を基に本誌作成

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「影が薄れた社会保障改革に潜むこれだけの不安」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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