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イカに明けた年のトリ

2013年12月26日(木)

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 洋邦のクリスマス・ソングがどこからか流れ聞こえてくる中、この原稿を書いている。今宵はクリスマス・イブだ。

 本来はキリスト教の祝節のはずだが、80年代以降の我が国では、雨が夜更け過ぎに雪に変わった時点で恋人が来る人と来ない人に分かれ、その年の最終戦争を行う日であるとされている。

 メギドの丘ならぬ、たぶん渋谷のスクランブル交差点あたりで。

 いまどきの言葉を使えば、最後のリア充審判の日だ。
 恋人や家族と過ごすことがかなわずとも、七面鳥……もといカラアゲ食って飲んで騒ぐお祭りは各地で行われていて、難民の救済キャンプの様相を呈している。

 そんな中、ただ、ひたすら原稿を書いているのだった。

 テキストと、それに加えて別立てのマンガという形式のこの連載コラムも、いよいよ今年最後の回となった。数字も50回とキリがいい。

 一週だけあらかじめ決まっていたお休みがあったが、その週を除いて今年の1月第一週から毎週かかさず、入校日は国内のあちこち……どころか合わせてひと月くらいは外国から原稿を送ったこともあった。よくぞ1回も落とさず更新してきたものだ。

 ……などと、いくらクリスマス・イブだからといって、作家やマンガ家やライターとして守るべき最低条件のラインで感慨深くなっていてはいけない。

 そんなことは当然の約束事で、たいがいの執筆者はごくあたりまえに遵守している。威張るべきことではない。むしろアピールするだけ遅筆のマイナスイメージが流布し、かえって営業上よろしくない。重々よくわかっているつもりだ。

 だが、しかし、連載が始まる前に担当者はおそるおそる私に訊いた。
「どのくらいのペースだと大丈夫でしょう。隔週でも平気でしょうか」
 辞書の「おそるおそる」という項目の挿絵に使用したらいいような顔をしていた。

「いや、せっかくなので毎週にしましょう。WEB上の連載は更新の間が空くとあまり誰も見てくれなくなるのはよくわかっています」

「ええええ」
 真顔で驚かれた。
「それはもちろん毎週のほうがこちらもありがたいです、が、しかし……」
 今度は明らかに不信顔だ。

 そのようなイメージを持たれていたのは、まことにもって自分自身の不徳の致すところだが、そして申し訳ないことに、実際、毎回毎回担当者にはかなりハラハラドキドキさせてしまったのだが、しかし、ごく稀に更新予定時刻後の数分間「ダミーちゃん」という謎のマンガがイリュージョンのように現れる以外は、なんとか無事に一年間の毎週更新を乗り切った。

 だが、時間的なこと以外に、マンガ家には別の「字を書く」ストレスもある。

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「イカに明けた年のトリ」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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