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「時間資本主義」がもたらす光と影

公私混同、テッパン集中、そしてネットでの時間浪費が進む

2014年1月28日(火)

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 前回は、時間制約の意識の高まりとともに、消費者一人ひとりの「時間価値」の重要性が増し、それが企業行動や消費行動に影響を与えてくるという新しい潮流を紹介しました。

 この時間制約の高まりの背景にある要因は、具体的には、(1)国民全体で見た平均年齢の上昇、(2)都市部への人口流入による労働生産性の上昇、(3)情報通信機器の発達による微小時間の有効化、の3つです。

 これら3要素の掛け算によって、我が国における「時間価値」は急速に増大しています。その結果として、「商品」と「商品代金+時間価値」が交換される時代が、今まさに到来しています。この新たな時代を、この連載では「時間資本主義」という造語で表現しました。

 次回以降では、「時間資本主義」という新パラダイムにおいて、消費産業、情報通信産業、小売産業、サービス産業など各々の産業でどのような近未来が描けるかということを具体的に議論していきます。

 今回は、各論に入る前に、前回カバーできなかった「時間資本主義」が生み出す様々な側面や論点に触れておきたいと思います。多くの論点がありますが、特に興味深いは次の3点です。

時間資本主義が進むほど、公私混同が進む

 第一は、「時間資本主義」が進めば進むほど、「公私混同」の世界が生まれてくるという事実です。近年は企業のコンプライアンス意識が高まり、プライベートなものを勤務時間に持ち込むことが厳しくなるように思われがちです。一方で、仕事を家庭に持ち込まずに、プライベートの時間を楽しむ風潮が高まっているような記事も散見されます。

 しかし、実態は逆の方向ではないかと思われます。

 仕事でクライアント先に移動する電車の中、トイレの時間、タバコやコーヒーで一息つく時間など、勤務時間でも必ず数分あるいは数十秒のブレイクが発生します。従来は、この時間は文字通りブレイク(休息)の時間でしかありませんでした。しかし、現在では、この時間にスマートフォンを使って、ホテルの予約や友人・家族とのコミュニケーションなど多くのプライベートな事ができます。

 逆に、自宅で家族と寛いでいる際、家人がちょっとトイレに立った時にでも仕事のメール処理が可能です。あるいは、家族旅行で電車に乗っている時も、会社のメールと同期しているスマートフォンを持っていれば、取引先からのメール対応ができてしまったりもします。最近急増している「おひとり様」と呼ばれる一人暮らしの場合は、誰にも気兼ねがないため、形式的プライベート時間に業務が否応なくはみ出してきます。

コメント7件コメント/レビュー

国民全体で見た平均年齢の上昇がなぜ時間制約の高まりになるのかしら?年齢の上昇は同じ仕事を短時間でこなせるようになるからかな?だとしたら(2)と同じ労働生産性の上昇ってことですね。TDLを楽しいと思う人が多いのは承知していますが、あの行列をサンクコストと認識しない不思議。信じられませんがね。行列も含めて楽しいのかしら?連休に車で出掛けて、テッパンの渋滞に嵌るのはサンクコストの認識が足りない人だとすれば、車を持たないのは十分認識している人かも知れません。(2014/02/03)

「時間資本主義の時代」のバックナンバー

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「「時間資本主義」がもたらす光と影」の著者

松岡 真宏

松岡 真宏(まつおか・まさひろ)

フロンティア・マネジメント代表取締役

野村総合研究所、バークレイズ証券、産業再生機構などを経て、2007年にフロンティア・マネジメントを設立。経営コンサルティング・M&A・事業再生を軸に経営支援を行っている

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

国民全体で見た平均年齢の上昇がなぜ時間制約の高まりになるのかしら?年齢の上昇は同じ仕事を短時間でこなせるようになるからかな?だとしたら(2)と同じ労働生産性の上昇ってことですね。TDLを楽しいと思う人が多いのは承知していますが、あの行列をサンクコストと認識しない不思議。信じられませんがね。行列も含めて楽しいのかしら?連休に車で出掛けて、テッパンの渋滞に嵌るのはサンクコストの認識が足りない人だとすれば、車を持たないのは十分認識している人かも知れません。(2014/02/03)

サンクコスト対策で食べログを見る人がいるのは判ります。ただ、あそこは「客が店員から不快な目に遭った事実」を口コミ欄に投稿すると削除されます。サンクコストを気にする人が本当に知りたい情報は、あのサイトからは得られないのですけどねぇ。●勤務という体系自体が、各人の時間を切り売りする行動に過ぎませんから、残る(残業する)か帰る(仕事を明日に回す)かも、サンクコスト理論で割り切れるものでしょうか。(2014/01/28)

30代前半男性です。記事を読んで感じたこと・・・、この先はつまらない社会になっていきそう。消費者側からの行動を内容にしていますが、サンクコストを意識した人間が他人にとって楽しいと感じさせるサービスを生産できるとは考えにくいからです。その結果が「テッパン的な満足が得られるサービスに特化するか、極めて信用できる情報の「問屋的エージェント(代理人)」に頼るという消費行動が生まれます。」ですよね。自分で判断せずにすごーくロボット的な生き方。あと、「2時間の映画を見始めたが1時間経過したところで詰まらない内容だと思った時に、席を立つか映画を見続けるか」とありますが、感性的に考えるとなぜそれを詰らないとしか思えないのかだとか作者は何を伝えたかったのかだとかいろいろと考えることができます。人としてはそのほうが重要なんじゃないかと思うんですけど・・・。経済としては無駄なんでしょうね。時間資本主義という考え方はすごく同意できますよ。(2014/01/28)

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