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「明日、ママがいない」に見えた深刻なギャップ

児童養護施設役職員と出身者の評価が分かれるわけ

2014年1月23日(木)

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 日本テレビのドラマで、親と暮らすことができない子どもたちを取り上げた「明日、ママがいない」が多くの批判を集めている。

 正直なところを言うと、電車でこのドラマのポスターを見た時点で、気が重くなった。ドラマが世間の偏見を助長して、また子どもたちが嫌な思いをするのではないかと思ったからだ。

 実際に、このドラマは子どもへの偏見を助長する可能性があるかもしれないものだったし、のみならず児童養護施設の設定は現実とはかなりかけ離れていた。児童養護施設側の方々が、このドラマが現実と乖離していると憤るのも分かる。ただし、設定のハチャメチャさは法廷モノや刑事モノのドラマとて同じことでもある。

 しかし一方で、子どもの目線に立つと、描写がかなりリアルだなと思ったのも事実だ。実際、施設出身者からは、自分たちの心象風景をよく描いているという声も聞かれている。

 番組に対する批判はすでに多量に寄せられているので、そこには言及しない。児童養護施設についてあまり知らない人に、ドラマの設定をよく知るための基礎知識を提供しつつ、なぜ上述のギャップが生じたのかについて考えるのが、今回のコラムの目的だ。

ドラマの設定をよく知るための基礎知識

 まず、いくつかの基礎知識について話しておこう。

 何らかの事情で親と暮らすことができない子どもは全国に約4万7千人いる。この子どもたちの養育を支える仕組みは社会的養護といわれている。

 社会的養護には、施設養護と家庭的養護の2種類がある。前者の代表格が児童養護施設で、家庭的養護の代表格は里親だ。全国に600弱ある児童養護施設には約3万人の子どもがいる一方で、里親家庭で育つ子どもは4000人強にしかならない。欧米ではこの比率は逆転していて、圧倒的に里親が多い。できれば子どもたちは家庭に近い環境で育つのが望ましく、里親の比率を増やすか、施設を家庭に近い環境にすることの重要性は長い間となえられてきた。

 子どもが親と離れる理由で一番多いのは虐待だ。虐待の中で特に多いのは育児放棄。他の理由には親の病気、経済的な理由、親の拘禁などがある。児童養護施設は、昔は孤児院と呼ばれていたが、親の死亡によって施設に来る子どもは多くない。

 上で述べた理由によって子どもたちはまず児童相談所に預けられ、そこで一時保護された後に、家庭に戻るか親戚などに引き取ってもらうか、施設に行くか、というようにその後が決められる。児童養護施設に行くのはその後だ。ドラマのように夜中に行くということはない。

 親やコミュニティとの関係に配慮し、児童養護施設は子どもたちの実家から離れた場所にある場合がほとんどだ(だから、このドラマのようにお母さんの家まで歩いていくのは難しい)。だから、子どもたちは、いきなり見たこともない場所で、1人きり(きょうだいがいる場合は別だが)でまた人間関係を作っていかないといけなくなる。

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「「明日、ママがいない」に見えた深刻なギャップ」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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