記者会見などを見ていて、「あ、この人、嘘をついてるな」と思うことはないでしょうか? あるいはこの人の言うことはどうも信用できないと思う時は、ありますか?
そう感じさせるにはもちろん理由があります。しかし直接話をしてみると、本人にはそんなつもりもなく、そんな風に思われているなどとも感じていないことがほとんどです。つまり、本人にとっては、「嘘」よりも「誤解」であることの方が多いのです。これが、いわゆる「渦中の人」や人前に出て話す人たちと関わってきた私の正直な感想です。

私はコミュニケーションのアドバイザーとして、数多くの経営者や有名人に、メディア対応やプレゼンのトレーニングを提供してきました。仕事柄、日ごろから個性の強い経営者や「失言」や、「暴言」、目立つ発言で注目を集める人たちと関わっています。
そのため必然的に、謝罪会見やネガティブな報道、ネットの「炎上」などをきっかけにして、世間に向けて説明の必要ができた時に、「どうすればいいか」と相談されることが多々あります。
そんな時に一体どんなアドバイスをしているのか?
実は意外とシンプルでありながら、本人たちが日ごろあまり意識していない話をします。そしてそれを実践すれば、与える印象はもちろん、聞き手の反応まで大きく変えてしまうことも珍しくない、というアドバイスです。
さらにそれは、誰でも日常生活の中で役立てられるものでもあります。詳しくは『なぜ経営者は「嘘つき」と言われてしまうのか?』の中でたっぷりと紹介していますが、ここではその中の基本となるポイントを紹介いたします。
「嘘つきと言われる人」の共通点
経営者には、周囲から「嘘つき」と言われている人、思われている人が意外と少なくありません。そして実際のところ、その対応に苦慮しているケースも珍しくないのです。原因も分からず、改善するためのすべもほとんど持っていないからです。
その象徴的な1つの例として、この日経ビジネスオンラインの連載で私が書いてきた「金曜動画ショー」でも以前、ある大手企業経営者の身に実際に起きたことと、その対応策を紹介し、大きな反響を得ました。
なぜ「嘘つき」なんて言われるのでしょうか。
それにはコミュニケーション上の理由があります。
周囲の人が感じている共通点は次のようなものです。
- 言っていることと、やっていること(行動)が違う
- 言動がよく変わる、しかも変えた理由を言わない
- 何を考えているのか理解できない
これに対して、当の経営者の言い分はこうです。
- 時と場合、相手に応じて話をしているし、役割が違えば行動も違う
- その時々で優先順位と方法は変わる
- 常にいろんなことを考えている。必要な情報は伝えている
大体このように集約されます。双方の言い分を文字通り受けとめれば、この現象は「誤解」です。
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