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中国人の海外旅行は大変だ!

国の“信用”がないとこんなに苦労する

2014年2月3日(月)

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 日本のお正月はとっくに過ぎ去ったが、中国は1月31日に旧暦の新年(春節)を迎えたばかりだ。1月中旬から各地で “忘年会”が始まり、鉄道ダイヤも2月中旬まで帰省者のための特別編成が組まれている。ターミナル駅や空港が大混雑するなか、近年は1週間のお正月休みを利用して海外旅行に出発する人も少なくない。今や海外旅行は、豊かになった中国人にとって、1つのステータスであり、最大の娯楽といってもいいだろう。

 2013年、海外に出かけた中国人は延べ1億人を数えるという。その中には商用・会議なども含まれているが、何といっても爆発的に増加しているのが観光客だ。

 中国政府が自国民の海外団体旅行(香港・マカオを除く)を許可したのは1997年からなので、まだ20年足らず。それ以前は、海外への出国といえば政府機関など一部の特権階級に属する人だけに限られており、一般人にとっては国内旅行でさえ高嶺の花で、海外に行くことなど夢のまた夢だと思われていた。

 昨今は日本を始め、アジアや欧米各国などに大挙して押し寄せ、その自由奔放な立ち振る舞いが物議を醸すほど中国人観光客が世界中にあふれている…という印象があるが、彼らがどのような手順を踏んで、どんな思いで海外旅行に出かけているか、読者の皆さんはご存知だろうか?

 「いや、別にどうでもいい」という冷ややかな声も聞こえてきそうだが、今回、私は初めてこのテーマで取材してみて、その手続きの煩雑さに正直いって驚いた。彼らにとっての海外旅行は、我々日本人の想像をはるかに超える大変な一大行事だったのだ。そして、彼らの話を聞けば聞くほど、つくづく「日本人って本当に幸せだな。日本人でよかった」と心の底から思えるようになり、家の引き出しにしまってある「日本国」のパスポートに感謝したのである。

ビザを取ったことはありますか?

 そもそも、日本人が海外旅行に行くとき、ビザ(査証)の存在をどれほどの人が気に留めているだろうか?

 インドやロシアなど、日本人に人気の国でもビザが必要なところもある。だが、アメリカ(米国)やカナダ、EU各国、東南アジアの人気の観光地でビザを必要とするところはほとんどない。パスポートと数万円、そしてクレジットカードさえ持っていれば、今夜にでも飛行機に飛び乗って好きなところに行ける。そんなふうに思っている日本人もいるだろう。日本人の中には、「ええっと、ビザって何だっけ?」とキョトンとする人すらいるかもしれない。それほど日本人はどこにでも自由に行ける。

 ビザとは、その国に入国しようとする人が、入国にふさわしいかどうかを事前に判断する身元審査であり、その人物が入国しても問題ないという証書、お墨付きのこと。就労ビザ、留学ビザなどのほか、「visa on arrival」(到着時に現地の空港で取得できるビザ)などさまざまなタイプがあるが、当稿ではいちばん一般的な「短期滞在ビザ」に限定して話をする。

 外務省によると、日本政府が「相互取り決め」でビザを免除しているのは世界66カ国・地域に及ぶ。外務省のホームページを見ると一覧のリストが出てくるが、担当者によると、そのリストには入っていなくても、東南アジアは実質上、日本人のビザ免除措置を取っている国が多いのだそうだ。中国も現在は15日以内の短期滞在なら日本人はビザ免除だ。頻繁に、しかも突然海外出張を命じられる日本人ビジネスマンにとっては、ビザ免除は非常に便利なものだ。

 しかし、中国人が海外へ、となると事情が大きく異なる。日本とは真逆で、ビザが必要な国・地域がほとんどだといってもいい。ビザが必要でない国といえば、ドミニカやアフリカの一部などで、正直いって観光ではあまり行く気が起きないような国ばかり。つまり、海外旅行の候補となるような国ならば、どこに行くにもほぼビザが必要で、その取得過程も大変厳しい審査を伴うものなのだ。

 平たくいってしまえば、ビザの取得を要求する=その国(と国民)の信用度が低いことの表れであり、中国人の世界での信用度はまだまだなのだといえる。

信用絶大、日本のパスポート

 信用度で言えば、米国と並んで日本のパスポートは世界最強だ。私自身、海外に到着して入国カウンターに並ぶ際、同じ便で到着した日本人の列にさっと並ぶ習慣が自然とついている。どんな国に行っても、日本人なら通常、何の質問もされず、数十秒でいとも簡単に入国できるからだ。

 それに比べて中東系、インド系、中国系が並ぶ列、とくに赤ちゃんを連れた家族連れの審査は厄介だ。これは私は長年の経験から言える。

 では、常にビザを必要とされる当の中国人自身は、海外旅行にまつわる煩雑な手続きについて、どう思っているのだろうか? そして“海外での中国人の悪評”について本音のところは? 

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「中国人の海外旅行は大変だ!」の著者

中島 恵

中島 恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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