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成長目標は意欲的に、財政の前提は控えめに

経済の前提と財政の展望

2014年2月5日(水)

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 いつも同じことばかり言っているが、このコラムでは、私が大学で実際に行っている講義を材料にしている。今回も同じように話を進めるが、現在は既に春休みに入っており、実際の授業は終わっている。そこで今回は、「授業で取り上げるとしたらこうなる」という形で話を進めることにしよう。

 議論の素材は、今年1月20日に内閣府が経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」である。あまりマスコミでは大きく取り上げられなかったが、以下で述べるように、これからの財政を考える上で大変重要な基礎資料である。

楽観的な経済の前提

 この「中長期の経済財政に関する試算」というのは、一定の経済展望(今後中長期的に想定される経済成長率、物価、金利などの姿)を前提とした上で、財政の姿(国・地方の財政収支、基礎的財政収支、公債残高など)が今後どう推移するかを示したものだ。

 これを見てまず気がつくことは、経済の前提が総じて楽観的なことだ。具体的にチェックしてみよう。

 試算では、足元の2014、15年度の成長率を、実質でそれぞれ1.4%、1.7%、名目でそれぞれ3.3%、3.4%と見込んでいる。これは民間エコノミストの平均的な予想よりもかなり高い。日本経済研究センターの「ESPフォーキャスト調査」は、民間エコノミスト約40人の将来予想を定期的に調査し、その平均値を公表するものだが、これによると、14、15年度の成長率は、実質でそれぞれ0.8%、1.4%、名目ではそれぞれ2.4%、2.2%となっている(本年1月調査、元のデータはこちら)。試算の前提と民間エコノミストの予想を比べてみると、特に、名目成長率について差が大きい。

 長期的な成長率についてはどうか。試算の説明文によると、「今後10年(2013~22年度)の平均成長率を実質2%程度、名目3%程度とした」となっている。これは、政府が昨年6月の成長戦略「日本再興戦略」において目標として示した成長率そのままである(こちらの2ページ)。つまり試算は政府の成長政策が思い通りの効果を発揮することを前提としていることになる。

 ただし、話がやや細かくなるが、試算は本当に「実質2%程度、名目3%程度」を前提にしているかというと、ちょっと怪しいかもしれない。公表資料では、各年度の成長率を出しているわけではないので厳密な検証は出来ないのだが(18、19、21年度の数値が省略されている)、筆者が適当に補完して計算してみると、実質2.1%、名目3.4%となる。ここでも名目の方が「3%程度」と言えるぎりぎりの線まで高めの成長が見込まれていることが分かる(3.5%にすると「3%程度」を超えて「4%程度」の範囲に入ってしまう)。

コメント5件コメント/レビュー

筆者のような財政再建原理主義者がまだ官僚や大学、マスコミ等にはびこっているので、おとなしくさせるために目標を言っているだけで、政府、少なくとも内閣はこの数値目標を達成するよりも、一刻も早いデフレ脱却を優先しているのだと思います。その方が日本国民のためになることですから。ただ、財政再建原理主義がうるさいので、消費増税が決まってしまったのが残念です。(2014/02/05)

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「成長目標は意欲的に、財政の前提は控えめに」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

筆者のような財政再建原理主義者がまだ官僚や大学、マスコミ等にはびこっているので、おとなしくさせるために目標を言っているだけで、政府、少なくとも内閣はこの数値目標を達成するよりも、一刻も早いデフレ脱却を優先しているのだと思います。その方が日本国民のためになることですから。ただ、財政再建原理主義がうるさいので、消費増税が決まってしまったのが残念です。(2014/02/05)

「財政再建」が国民生活にもたらす(主に負の)影響について、経済学者やエコノミストの言うことがはっきり言って「信用できない」。小峰先生に限らず、またこのサイトにすら限らず、もうちょっと結論が出てくるまでの過程を明らかにしていただきたいものなのだ。(2014/02/05)

財政を本気でどうにかしたいと思うのならば、そもそも国会の役目である「予算決定権」を駆使して天下り等に代表される行政の無駄に対して「予算をつけない」だけで充分達成できるんですよ。行政側がいくら不満を言おうとも「個別の無駄」をピックアップして「この施策、この事業に予算はつけません」として、概算要求から削除させれば良かっただけ。民主党の事業仕分けは予算編成の決定権を行政側に預けたまま行ったので失敗したんですわな。(2014/02/05)

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