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「徴介護制」が問いかけるもの

カネを使わない福祉の可能性

2014年2月5日(水)

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 2336万人。総人口の26.9%──。内閣府のホームページには、そう記載されている。2060年の日本には、75歳以上の高齢者がそれだけいるらしい。

 2012年の統計では、75歳以上の人口は約1500万人。総人口の12%にとどまっている。今でも身の回りでいわゆる「高齢化」を実感することはあるが、どうやらその比率は、今後倍以上に高まるようだ。その時、果たしてどんな社会になるのか。正直言って想像もつかない。

 2060年は遠い未来のことかもしれない。だがまさにそのくらいの時期に、私は75歳以上の後期高齢者の仲間入りをする。それまで自分が生きているかどうかさえ分からないが、何せ不摂生な生活をしているもので、歳を重ねても健康でいる自信は全くない。自分の子供に迷惑はかけたくないが、老後に備えて資金を計画的に蓄えているわけでもない。

 そのくせ、自分の「番」が回ってきたときには、日本に確かな介護の仕組みがあってほしいし、同時に、高齢者に優しい社会であってほしいと思っている。

今でさえ強い人手不足感

 だが今のままでは、なかなかそうはならなさそうだ。介護分野に従事する人の数は2012年に約150万人。今後労働力人口全体は減少するにもかかわらず、介護に必要な人の数は今後十数年で100万人ほど増える見込みだという。

 現状でさえ、介護現場は人手不足にあえいでいる。介護労働安定センターが実施した2012年度の「介護労働実態調査」によると、職員が「大いに不足」「不足」「やや不足」しているとした施設の合計は全体の57%を占め、2011年度から4.3ポイント増えた。

 重労働なうえに、一般的に待遇は良くないとされ、同調査では、管理者を除く職員の平均月給は21万1900円。介護の収入では家族を養えないと考えた男性職員が、結婚を機に退職する「寿退社」も、業界では珍しくない。

 より良い老後を過ごすためには、一体どうすればいいのか。自分だけのことを考えれば、宝くじでも当てれば問題は解決するのかもしれない。だが、周囲の多くの人が悲惨な老後を送るようになるとすれば、そんな社会に住みたいとは思わない。

 そんなことを漠然と考えていたところ、最近、ある1つのアイデアに出合った。その名も「徴介護制度」。簡単に言えば、国民の多くに一定期間、介護事業に従事してもらおうという仕組みのことだ。

 徴兵制を連想させるその言葉が意味することは、なかなかに過激だ。軍役ではないとはいえ、国民に全く新たな義務と負担を強いることに変わりはない。人々に諸手を上げて歓迎されるようなものではないだろう。

 だがそれを考えることは、今後、日本の誰もが無関係ではいられない介護という社会的課題について、1人ひとりがどう向き合えばいいのかを考えさせてくれる非常にいいきっかけのように思う。

コメント61

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「「徴介護制」が問いかけるもの」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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