• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

小選挙区制という「魔法の装置」

グローバル経済と民主国家の危機(後編)

2014年2月6日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 東西冷戦が「終わりの始まり」を迎える中、フランシス・フクヤマが「歴史の終焉」と自由民主主義の最終的な勝利を謳いあげた1989年。ちょうど日本においても「山は動いた」といわれたように、自由民主党が参議院選挙で追加公認や非改選議席を足しても過半数に達しない大敗北を喫し、1955年からつづいた一党優位制の終わりが始まったのであった。

 さらに小選挙区制の導入を中心としたいわゆる政治改革をめぐる対立などで1993年に自民党が分裂し、宮澤喜一内閣に対する不信任案が可決、衆議院の解散・総選挙を経て過半数を失った自民党は、ついに戦後38年たえまなくつづいた政権を手放すこととなった。

 こうして、東西対立の構図をそのまま日本国内に圧縮していたかのような「自民党の長期政権」vs.「万年野党としての社会党」に特徴づけられた1955年体制は崩壊し、政党間競争が急速に激化する中、政界再編と連立政権の新時代が幕を明けたのであった。

オルターナティブとしての民主党の形成

 小沢一郎らの新生党、武村正義や鳩山由紀夫らの新党さきがけという自民党から分裂したばかりの政党から、細川護煕らの日本新党、民社党、公明党、社民連そして社会党までを含めた7党による連立内閣のもとで小選挙区制の導入がなされると、自民党に対抗するオルターナティブの形成をめざして、合従連衡の動きは加速した。

 当初、主導権を握ったのは、小沢であった。1993年の総選挙で大敗し完全に守勢にまわった社会党に次々と政策転換を迫り、ついには排除するかたちで(主として新生党、日本新党、民社党、公明党からなる)新進党の結成に向かっていった。しかし、追いつめられた社会党が新党さきがけとともに自民党と連立政権を組むことを選び、自民党の政権復帰を許すと、新生党の党勢は伸び悩むことになる。

 そうした中で、自民党と新進党という2つの保守政党に対抗する「第三極」として社民党(旧社会党)の一部と新党さきがけが母体となって1996年に民主党が結成された。1998年に小沢が新進党を突如解党すると、民主党は旧新進党の保守勢力の一部の参加を得て再結成、小泉純一郎率いる自民党政権と対峙する過程でついには小沢自由党とも合併し、政界再編が本格化してから10年を経た2003年にようやく社民リベラルから新自由主義、そして保守まで含んだ非自民勢力が民主党に集結したのであった。

 そして2005年の郵政民営化選挙の挫折を経て、2009年、民主党は悲願の政権交代を実現した。自民党のオルターナティブを作り、日本に政権交代可能な二大政党制が成立することを夢見た政治改革の流れは16年後についに結実し、自由民主主義の貫徹というフクヤマの予言を日本において成就したかに見えた。

民主党の失墜

 しかし民主党は政権につくや、ただちにさまざまな内憂外患に苦しむところとなった。

 詳細は日本再建イニシアティブ著『民主党政権 失敗の検証』における調査報告にゆずるが、民主党政権は、普天間基地移設問題で迷走、「国民の生活が第一。」とマニフェストで掲げていたはずが、消費税増税や環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加へと根本的な政策転換を行った結果、熾烈な党内対立と分裂を経て、2012年12月の衆議院選挙で惨敗し下野、さらに2013年7月の参議院選挙でも壊滅的敗北を喫したのであった。

コメント17件コメント/レビュー

文章から安倍氏を引きおろしたいという著者の根本にある願望が露骨に見えて、読んでいて首を傾げたくなりました。安倍氏が現状の選挙の欠陥を悪用し少数ながら政権を奪取。独裁に近い方法で政権を運営し、経済グローバル化し貧富の差が拡大することによる社会不安を、中韓を刺激し国民のナショナリズムを煽ることでごまかしているといった分析のようです。ここまで香ばしいアンチ安倍記事を日経ビジネスで見られるとは思いませんでした。北東アジアの政治情勢を見れば、中韓こそ国民の社会不安をナショナリズムの喚起で緩和させる政策をとっています。当然経済が上向いている日本より、下降局面に入っている中韓の方がその必然性が強いのは言うまでもありません。安倍氏にナショナリスト的な傾向がないとは言いませんが、日中韓の国際関係に触れるのであれば安倍憎しの感情からではなく、しっかりとした地政学的な分析に基づくべきです。(2014/02/11)

「民主主義は終わったのか」のバックナンバー

一覧

「小選挙区制という「魔法の装置」」の著者

中野 晃一

中野 晃一(なかの・こういち)

上智大学国際教養学部教授

1970年東京生まれ。東京大学文学部哲学科および英国オックスフォード大学哲学・政治コース卒業、米国プリンストン大学で博士号(政治学)を取得。専門は比較政治学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

文章から安倍氏を引きおろしたいという著者の根本にある願望が露骨に見えて、読んでいて首を傾げたくなりました。安倍氏が現状の選挙の欠陥を悪用し少数ながら政権を奪取。独裁に近い方法で政権を運営し、経済グローバル化し貧富の差が拡大することによる社会不安を、中韓を刺激し国民のナショナリズムを煽ることでごまかしているといった分析のようです。ここまで香ばしいアンチ安倍記事を日経ビジネスで見られるとは思いませんでした。北東アジアの政治情勢を見れば、中韓こそ国民の社会不安をナショナリズムの喚起で緩和させる政策をとっています。当然経済が上向いている日本より、下降局面に入っている中韓の方がその必然性が強いのは言うまでもありません。安倍氏にナショナリスト的な傾向がないとは言いませんが、日中韓の国際関係に触れるのであれば安倍憎しの感情からではなく、しっかりとした地政学的な分析に基づくべきです。(2014/02/11)

はい、はい。左翼の方々はまっとうな保守政治が嫌いなだけでしょう。ただし、今の安倍政権の経済政策のうち、かなりの部分は民主党政権でも同じだった。なぜか?それは財務官僚の政策だからです。民主党になろうが、自民党になろうが、最終的な方針は財務省なので、正しく言えば「財務省独裁」、「官僚独裁」でしょう。小選挙区はいい選挙制度ではない。ちょっとした人気不人気で、結果が正反対になる。はっきり言おう。マスコミに乗せられて、人気投票しかできない日本の幼い有権者には、小選挙区制はまったく適していない。今すぐ中選挙区制へ戻せ。なぜそうならないか?マスコミが小選挙区がよいとねつ造している。なぜなら、マスコミの印象操作で政権交代ができるからだ。そして、勝った政党は小選挙区制では、実際以上の力を持つので、手放したくないのだ。次は自分たちが、実際以上に大敗するのに気づかない浅はかな政党ばかりだからだ。(2014/02/09)

 筆者は、何のためらいもなく、キャッチフレーズを掲げすぎです。「選挙独裁制」という言葉を。 選挙独裁制などという言葉を使うのであれば、もっと厳密な学者らしい定義においておこなうべきではないでしょうか。単なる刹那的な好き嫌いの印象論にしか見えません。 小選挙区制を選択したのも国民。自民党を支持したのも国民。かつて民主党を圧勝させたのも国民。ではないですか。 その曲がりなりにも立派な自由民主主義体制を中国などの真の一党独裁国家と似てきたなんて、先生はどこを見ておっしゃっているのでしょうか。中国(中華人民共和国)には『選挙』さえ無いのですよ。 もう少し、バランスのとれた論を展開してほしいと思います。(2014/02/07)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

小池さんがこの言葉(排除)を述べたことで、「風」が変わっていきました。 ただし、小池さんが言ったことは正論です。

若狭 勝 前衆院議員