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総需要か総供給か、二分論には意味がない

2014年2月7日(金)

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 本連載では、日本経済を再生するために必要な5つの取り組みについて、話を進めています。1つ目の取り組みは「人材戦略―量と質の両面からの労働力の底上げ」でした。女性、若者、シニアの全員が参加できる社会の実現の重要性とそのために必要な制度改革について述べました。2つ目の取り組みは「経済の新陳代謝による生産性上昇」です。生産性の上昇には、労働や資本を生産性が低い分野から高い分野へ移す必要があります。そのためには労働市場の流動化を高める包括的な制度設計が重要であり、政府の施策のみならず、社会の慣習や企業の雇用制度なども見直す必要があることを述べてきました。

 GDP(国内総生産)成長率は、「働く人の数」と「1人当たりが生み出す付加価値(労働生産性)」、それぞれの伸び率の和に常に等しくなります。つまり、より多くの人が働くか、1人ひとりがより高い付加価値を生み出すか、もしくはその両方が実現しない限り、経済は成長しません。さらに経済成長率を1人当たりで考えれば(1人当たりGDP成長率)、労働生産性が向上する以外、国民1人ひとりがより豊かになる方法はありません。

 一方で、読者の中には、日本経済の実力に比べて総需要が増えなかったことを重視する方もいるでしょう。労働生産性は基本的にはマクロ経済を総供給面からみた概念なので、総需要を重視する立場とは相容れないように見えるかもしれません。

 今回以降は、「総需要か総供給か」というマクロ経済学的には初歩的な議論を出発点に、日本経済が中長期的な経済成長を実現するために筆者が重要と考える、「創造型需要の創出」と「グローバル化」について、なぜこの2つに着目するべきなのか、議論を進めていきます。

総需要か総供給か

 まず、総需要か総供給かという二分論的な問題設定は、今年の景気やインフレ・デフレを論じる際には確かに不可欠ですが、中長期的な経済成長――経済発展と言い換えてもいいでしょう――を考えるときにはほとんど意味がないということです。

 マクロ経済学の初歩的知識として、三面等価という原理があります。国民経済計算(SNA)上、総需要と総供給は一致しています。日本に限らず、ある経済が中長期的に成長・発展している場合、消費や投資によって総需要が成長しているはずですが、必ず同じだけ総供給も増加しています。短期的にはどちらが不足したり過剰だったりすれば、インフレやデフレという帰結を招きますが、中長期的な経済成長には、通常、名目物価は無関係と考えられているため、結局のところ、総供給も総需要も両方伸びなければならないというのが、経済成長を考える際のコンセンサスです。

「武田洋子の「成長への道標」」のバックナンバー

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「総需要か総供給か、二分論には意味がない」の著者

武田 洋子

武田 洋子(たけだ・ようこ)

三菱総合研究所チーフエコノミスト

日本銀行を経て、2009年4月より三菱総合研究所政策・経済研究センター主任研究員(シニアエコノミスト)、2012年4月より主席研究員(チーフエコノミスト)。内外経済分析を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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