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法人税率引き下げの前に必要なこと

2014年2月14日(金)

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 「~する前に必要なことがある」という政治家の「一つ覚え」はどうも好きになれなかった。近くは消費税引き上げ決定までの長い論争。「消費税を上げる前にやることがある」と始まり、「徹底したムダ削減」と続けば、もう誰もぐぅの音も出ない。

 それ自体に異論の挟みようもないからだが、何をムダとするのか、どこまでやれば「徹底」なのか、皆違うイメージを持ちながら印籠だけが高々と掲げられた。消費税引き上げを達成するために、世界に例のない社会保障目的税にしたことも含め、「~する前に必要なことがある」が議論を迷走させたように思えてならなかったものだ。

 だから、「~する前に必要なこと」を言うのは慎重にならないといけないとは思うが、やはり気になる。お題は、安倍晋三首相がご執心の法人税引き下げである。

 国際的に見て最高水準の法人税率を引き下げることで日本企業の競争力を高め、国内への投資を活発にさせる。と、同時に外資も呼び込んで日本経済を活性化するという狙いはいい。だが、やはりその前に必要なことがある。

海外流出しかねない研究開発の効果

 例えば、これまでの法人税制には明確な意図が見えない。かつて50%に達していた法人税率は1998年以降でも3度に渡る引き下げで約35%に下がったが、欧州主要国に比べてもなお5~10%程度高いし、新興国と比較すれば15%は上にある。これまでは、巨額の財源が必要な法定税率の引き下げよりも、研究開発や設備投資を積極的に行う企業に減税することで経済活性化を図るとしてきた。

 だが、よく見るとそこにちぐはぐな姿が浮かぶ。例えば研究開発減税は、試験研究費の規模や前年比で増加した場合などに法人税を軽減するもの。これが日本の場合は、海外企業に委託などで研究開発を任せた場合も減税対象となる。企業をグループとして捉えて研究開発を側面から支援するもので、企業側にとっては使い勝手はいい。

 しかし、海外での研究開発も事実上の対象としたことで、研究者の確保・育成や技術の蓄積・向上の効果が海外に“流出”している可能性もある。一方で、例えば英国は「研究開発減税の対象を基本的に国内でのそれに限っている」(EY税理士法人のヒールシャー・魁・移転価格サービス部アジア太平洋地区リーダー)という。研究開発の効果を国内に留めるためだ。

 しかも、日本の場合は法人税が高いので、海外企業などで委託開発した特許など研究開発の成果を日本国内に置かず、海外に移す可能性もある。一方、英国は2008年に30%だった法人税率を23%まで下げてきたが、2015年春にはさらに20%にする。これもまた国内に研究開発の効果を留めるためだ。

 細かな話だが、研究開発減税は経済産業省主導で作られたものであり、その元には日本経済団体連合会の強い要望がある。一方で、当然ながら法人税率は財務省が簡単には動かさない。それぞれ、省や一部大企業の利害に適っていても、国益に正しく向かっているのか。浮かぶのは、安倍首相の好きな「オールジャパン」の態勢にはなっていない姿だ。法人税改革に経済活性化という大目的があるとすれば、目的にそった戦略策定から行う必要がありそうだ。

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「法人税率引き下げの前に必要なこと」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官