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「Jカーブ効果」が現れないのは当然

円安について考える

2014年2月26日(水)

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 今回は円安について考えてみたい。2012年11月にアベノミクス相場が始まって以来、円安が進行し、これが経済の各面に大きな影響を及ぼしている。円安が始まってから1年以上が経過し、だいぶデータもそろってきたところで、改めて円安とは何だったのかを整理してみるのも有用であろう。以下ではいつものように、私が大学で講義している内容をベースに解説していく。私は、法政大学の大学院で教えており、学部の授業は持っていないのだが、「学部レベルで教える」ということも続けておいた方がいいだろうと考え、某大学で「国際経済」について教えている。以下に示すように、この学部レベルの知識を踏まえて考えるだけでも、結構日本経済の姿を理解するのに役に立つものなのだ。

円安の経済的影響の整理

 アベノミクス下で続いてきた円安については、「どうして急に円安になったのか」という問題と、「円安になると経済はどうなるのか」という2つの問題がある。2つとも重要だが、前者は、学部レベルの知識では対応できないので、今回は後者の問題に絞って考えることにしよう。

 まず、円安進行の程度を見ておこう。2012年から13年への変化を見ると、円レート(対ドル)は1ドル79.8円から97.7円へと18.3%の円安となった。学部の講義だと、ここで、「なぜ円レートの表示は、『1ドル=〇〇円』という表示になっているのか(これは1枚100円の板チョコの値段を、『1円=板チョコ100分の1枚』と表示しているようなものである)」とか、「円レートの変化率はどうやって計算するのか(この場合は「(79.8÷97.7-1)×100」なのだが)」といった基本を縷々説明するのだが、ここでは省略する。大雑把に言えば、円レートは80円から100円へと約2割円安に動いたということである。

 円レートが動くと、まず輸出入価格(以下、すべて円建てで考える)が変化する。輸入価格については話は簡単だ。今まで1ドル(80円)で輸入していたものが100円になるのだから、輸入価格は約20%上昇する(以下、取引通貨はすべてドルだとする)。すなわち、輸入価格についての結論は、「円安になると、円の下落率と同じだけ輸入価格が上昇する」ということである。

 輸出価格についてはやや話が面倒になる。今まで1ドルで製品を輸出していた日本企業は、2つの選択肢のどちらかを取ることになる。一つは、ドル建ての輸出価格を従来通り1ドルに据え置くことだ。この時、輸出価格は80円から100円へと約20%上昇する。もう一つは、円の手取りを従来通り80円に据え置くことだ。この時、円建ての輸出価格は不変だが、ドル建ての輸出価格は0.8ドルへと約20%下落する。

 ただ、この2つは両極端の場合だから、全輸出品を平均すると、この両極端の間のどこかに落ち着くことになる(例えば、ちょうど両極端の中間だと、ドル建て価格0.9ドル、円建て価格90円となる)。すると、輸出価格についての結論は、「円安になると輸出価格は上昇するが、その上昇率は輸入価格よりは小さい」ということになる。

 さて、ここまで進んでくると、「輸出価格の反応と輸入価格の反応が異なるのはなぜか」という疑問が浮かんでくる。授業ではこの点も説明するのだが、煩雑だし、以下の議論にはあまり影響がないので、ここでは省略する。

コメント23件コメント/レビュー

この円安によって、日本の輸出製品は競争力を得たのでしょうか?輸出企業が、円安の恩恵だけを受けて何もせず、攻めに転じれていないと感じました。(2014/03/04)

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「「Jカーブ効果」が現れないのは当然」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

この円安によって、日本の輸出製品は競争力を得たのでしょうか?輸出企業が、円安の恩恵だけを受けて何もせず、攻めに転じれていないと感じました。(2014/03/04)

円安が貿易赤字拡大要因になっているだから、火力発電エネルギーコストを下げるためには円高傾向のほうが今の日本には合っている。このまま貿易赤字が続けば、日本が経常赤字国に転落する予想をたてずにいられない。経常赤字国になれば円安が加速して、日本の債務残高の多さから超インフレの悪夢シナリオに突入するであろう。昨日のロイターニュースに「安倍首相は日本を崩壊させた人物として20年後の歴史に残るだろう」というジム・ロジャーズ氏の言葉があった。(2014/02/27)

例えばある国のGDPが一年間で約17%マイナスになったらどう思いますか?その国は破たんしているのでは? と思うのが自然だと思います。2012年 日本 GDP 6.0兆ドル2013年 日本 GDP 5.0兆ドル(前年比-17%)日本円建てで増えた減ったと騒いでいるよりも、この消えた1兆ドルの件を解説して欲しかった。(2014/02/27)

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