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中央銀行の国債買い入れは万能薬か

歴史が示すのは極端な物価上昇

2014年2月27日(木)

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 万能薬とは、全ての怪我や症状に適用できるとされる薬のことである。これまで万能薬として売り出された大衆薬はあったが、薬学上は文字通りの「万能」な薬は存在し得ない。例えば、抗生物質も万能薬のように言われるが、基本的には細菌を殺す薬ではあり、ウイルスには効果がない上に、それぞれに有効な細菌が異なっている。

 ところが金融政策にはどうやら万能薬が存在しているかのようである。中央銀行が政策金利を引き下げるといずれ、その政策金利がゼロ近辺となる。そうなると今度は国債などを大量に購入することになる。これが、何にでも効果がある金融政策の万能薬だとでも言いたいようなのだ。

本来は時間を稼ぐための麻酔薬

 2007年あたりからのサブプライムローン問題に端を発した世界の金融危機は、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻で世界経済に大きなショックを与えた。さらに2010年からはギリシャの債務危機を発端とするユーロ圏の信用危機が発生した。この百年に一度とされるような世界的な金融経済危機が連続して発生した際に、危機の救い手として現れたのが中央銀行であった。

 なぜ、危機対策に中央銀行が出てきたのか。その理由は明白であった。リーマン・ショックは欧米の金融機関を中心に問題が発生し、欧州の信用危機はギリシャやポルトガル、スペインなどの国債の信用力に問題が発生した。その問題の発生場所は金融市場にあっため、中央銀行が金融市場に大量の資金を投入することで沈静化を図ったのである。

 金融市場を動かすのは、そこに参加する市場参加者の思惑である。危険だと市場参加者に思われた金融商品は値下がりのリスクが生じる。そのリスクを少しでも早めに回避しようと、我先に該当の金融商品を売却しようとする。例えばギリシャの財政問題が浮上した際には、ギリシャ国債を保有している投資家がその国債を売却してリスクを軽減しようとし、格付け会社が格付けを引き下げることにより信用そのものへの不安が増加し、売りが売りを呼んだ。その結果、ギリシャ国債の利回りは40%を超えるまでに上昇したのである。

 一度不安が起きると、その不安を解消することはなかなか容易ではない。しかし、中央銀行が大量に資金供給を行うことで、市場参加者の不安を少しでも和らげることはできる。いわば時間を稼ぐことが可能となる。その間に不安要素を取り除く作業を行い、正常化を図ることになる。このように中央銀行の金融緩和政策は本来、危機対策における麻酔薬のようなものなのだ。

国によって違う中央銀行の金融政策

 それぞれの国の中央銀行の金融政策には目的が存在する。米国の中央銀行であるFRBの使命(目的)はデュアル・マンデートと呼ばれ、物価の安定と雇用の最大化となっている。デュアル・マンデートがFRBの使命となったのは、1977年の連邦準備改正法の成立によるものだが、その源流には1946年の雇用法があるとされている。

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「中央銀行の国債買い入れは万能薬か」の著者

久保田 博幸

久保田 博幸(くぼた・ひろゆき)

金融アナリスト

証券会社の債券部で14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事。幸田真音『日本国債』の登場人物のモデルにも。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長