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「時間資本主義」によって変わる消費者の“移動”パターン

移動時間はロスタイムか? 時間価値の多様性を探る

  • 沖重 和俊

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2014年3月11日(火)

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 各駅停車と目的地により早く到着する快速電車が同じホームに停まっていたら、多くのみなさんは快速電車に乗るのではないでしょうか。移動は“さくっと”済ませたいという思いが、こうした行動・選択の背景にあります。

 より早く移動するために人類は多くの知恵と経験を活用し工夫や投資を行ってきました。移動は非生産的なロスタイムであり、移動にコストを払うことはできるだけ回避したいという共通認識が、これらの移動時間極小化へのチャレンジの背景にあるわけです。

 割高な高速道路、新幹線、航空機などを使ってより早く目的地に到達するような消費行動は、ロスタイムである移動という時間制約を緩和するためには代価を払っても良いという移動パターンのあらわれといえるでしょう。

 移動のロスタイム最小化ニーズ(あるいはコンセンサス)に対応する形で、日本国内各地で交通インフラ整備が進められてきましたが、これらにはムダではないかとの非難の声がつきまといがちです。

 日本の交通インフラ投資における一般的な判断手法である費用便益分析(B/C)では、投資対効果を金額で測定するために「移動の単価」を「賃金」で計るというのが一般的なルールです(1時間の移動のために1時間分の時給をあきらめるというイメージ)。

 しかし、時間価値は千差万別であるだけでなく常に変動しており、時間に一物一価の絶対的な単価を見出すことは困難です(時間価値の多様性)。“毎日が日曜日”の人の1分と締め切りに追われるビジネスマンの1分の価値はそれぞれ異なりますし、そのビジネスマンにとっても勝負プレゼンにおける1分と家族とのバカンスにおける1分の価値はやはり異なります。

時間価値が多様化しているのに、投資対効果の検証が不十分

 にもかかわらず、交通インフラの投資対効果検証モデルにおいて「移動の単価」を「賃金」で計るというシンプルさが、インフラ投資にムダとの非難がつきまといがちな要因の一つではないかと考えられます。複数の交通機関や移動経路の選択の際に、自分の賃金水準が比較の物差しとして頭に浮かぶ人はそう多くないのではないでしょうか。

 各駅停車と目的地により早く到着する快速電車が同じホームに停まっていても、なかには各駅停車を選ぶ人もいます。例えば、移動中の時間を今日の試験の追い込みに使うために、わざわざゆっくり移動したいといった思いがこうした行動・選択の背景にあります。

 時間価値の多様性ゆえに、より早く移動できるのにあえてしないという移動パターンのためにも人類は知恵と経験を活用し工夫や投資を行ってきました。移動が単なる非生産的なロスタイムではなく、移動に要するコストを払ってでも獲得すべき効用もありうるという共通認識がこれらのアンチ移動時間極小化へのチャレンジの背景にあります。

 やっと実現したあの人とのドライブ、豪華なクルーズトレイン、遠い空港から発着するLCC(Low Cost Career)など、ゆっくりでも良い(あえてゆっくり)目的地に到達する、といった消費行動パターンもあります。これらは、ロスばかりではない移動という時間制約を受容するためには代価を払っても良いという移動パターンのあらわれといえるでしょう。

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