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“終生、図面を書かなかった” デザイナーに学ぶ

柳宗理が実践した「他力本願型」設計の本質

2014年3月11日(火)

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 図面なしでモノを作る。多くの技術者が、一度は考えたことのあるテーマだと思う。

 3D(3次元)-CADの活用、CAMとのデータ連携、製造現場での3次元組立図の活用など、各社が推進してきた「ものづくりのデジタル化」は、紆余曲折を経ながら、少しずつ華開き始めているようにも感じる。

ある設計技術者の意見、考える時間の重要性

 「図面を使わないモノづくり」 というスタイルは、でき上がりつつある? 先日、この図面レス推進というテーマで、あるメーカーの設計技術者と話をする機会があった。この会社は、設計の3D移行は完遂しているが、まだ製造工程や顧客対応の図面レス化にはたどり着いていないとのことだった。

 「御社の業務において、図面を無くすことはできますか?」 私は、その技術者に尋ねた。まあ、よくある質問だ。

 「無くせるけど、無くしてはいけない気がする」 その技術者は答えた。これもよくある回答だ。しかし、その理由が面白かった。

 「自分がドラフターで機械製図をしていた時に、自分の中に流れていた思考の時間と、今、3D-CADを駆使してモデリングをしている若手技術者の中に流れている時間が、あまりに違い過ぎる気がしている」

 どういうことですか? 私は続けて、その方に聞いた。

 「自分は、3D-CADを使ったことがないから、分からないだけなのかもしれないが、3D設計では、いきなり形状ができ上がってしまう印象がある。自分達の時代は、線を1本、紙の上に引く間に考える時間があった。考えながら線を引き始め、線を引き終える時に、ちょうどその思考が終わる感じだった。そして、頭の中でまとまった考えと、眼の前に引かれた線を比較し、良否の判断をした」

 そういう設計の仕方が、3D-CADではできる気がしない。その技術者は語った。

 「だから、今の技術者に対しては、うがった見方なのかもしれないが、あまりものを考えずに図面を書いている印象がある。そんな昔話ばかりをしていても仕方がないのは分かっているのだが、とにかく、図面ではないにしても、設計者が物事をきちんと考えるための手段を何かしら残したい。そうしないと、本当にまずいのではないかと思っている」

 私は前職で、設計業務のかたわら、3D導入推進の仕事をしていて、先輩技術者から反対を受けて苦労した経験があるのだが、その時に彼らが語っていた「3D設計では魂がこもらないから」とか「紙でないと構想設計ができないから」というような理由について、実はほとんど理解ができていなかった。自分の慣れ親しんできた道具を変えたくない言い訳くらいにしか、考えていなかった。

 だが、その設計技術者の方が私に語ってくれた 「時間の流れが早過ぎるから」 という意見には、納得できるものがあった。そして、開発設計における【考える時間の在り方】の重要性に、あらためて気付かされたのである。

「他力本願型」設計への着想

 どうやって「モノを作る能力」を企業に残していくか。各社が「開発設計力の強化」を中心に据えた戦略を練っている。

 その中心にあるのは、やはり【きちんと物事を考える時間】であり、それを確保することが、引き続き重要になっている。

コメント3件コメント/レビュー

 日本で3D-CADが停滞しているのは、日本人の英語が上達しないのと同じ理由ではないでしょうか? 「日本語を英語に変換する」という発想から抜け出せないから英語が上達しない日本人は、 図面をそのままコンピューター化するという呪縛から抜け出せていないように見えます。 3D-CADでモデル化するのは、3次元のモノであって、図面ではないのです。デザイナーよりも、プラレールやダイヤブロックの開発者に作らせた方が良い物ができるのでは?>3D-CAD(2014/03/11)

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「“終生、図面を書かなかった” デザイナーに学ぶ」の著者

乙部 信吾

乙部 信吾(おとべ・しんご)

開発・設計技術コンサルタント

1977年生。2001年上智大学理工学部機械工学科卒業後、キヤノン入社。2011年、O2に入社。可視化・形式知化をキーにした各社の開発プロセス改革に取り組む。海外での開発拠点立上げにも造詣が深い。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

 日本で3D-CADが停滞しているのは、日本人の英語が上達しないのと同じ理由ではないでしょうか? 「日本語を英語に変換する」という発想から抜け出せないから英語が上達しない日本人は、 図面をそのままコンピューター化するという呪縛から抜け出せていないように見えます。 3D-CADでモデル化するのは、3次元のモノであって、図面ではないのです。デザイナーよりも、プラレールやダイヤブロックの開発者に作らせた方が良い物ができるのでは?>3D-CAD(2014/03/11)

>3D設計では、いきなり形状ができ上がってしまう印象がある~中略~そして、頭の中でまとまった考えと、眼の前に引かれた線を比較し、良否の判断をしたCADも同じですよ。単なるトレースならいざ知らず。CADで設計している時も脳内で作図図面の適正化はやってますよ。手書きよりもすばやく出来る分、良否の判断が早くなるってことがメリットですよ(2014/03/11)

焼失した金閣寺が早期再建できたのは「明治の大修理時の図面が残されていたから」という歴史の教訓もあります。(2014/03/11)

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長