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「話しかけられるのが面倒くさい症候群」が広がっている

2014年3月12日(水)

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 日経MJ2013年7月29日号。売り上げを伸ばしている中古車販売店についての興味深い記事が載っていた。

 (編集部注:この記事は2013年8月22日に掲載した記事の再掲載です)

 人気中古車店といえば万国旗・のぼり・アーチ型ゲートの「三種の神器」とともに「いらっしゃいませ!」という威勢のいい声と「どんなお車をお探しですか?」と笑顔で声をかけてくれる「イメージ」があった。

 ところがこの記事で紹介されている店は、カフェや託児所が併設され、店内の雰囲気も女性が好むシックで、ブティックのような雰囲気。接客もごくあっさりとさりげなく。既存のスタイルと完璧に「決別」することで「超人気店」にのし上がったという。

 まず店の入り口で客はiPad miniを渡される。客は興味を持った車のQRコードを撮影。価格・性能・修理歴等々の情報を自分で確認し、検討する。「商売熱心で人懐っこい店員」のセールストークにプレッシャーを受けずに、余裕をもって納得のいくまで自分で商品を見ることができる。

 ではここで「古典的な繁盛店のイメージ」を思い描いてみよう。

「どんなお車、お探しですか? この夏はご家族で海水浴など行かれます? キャンプですか? 八ヶ岳? この4WDが威力を発揮しますよ。お色もグレーで車高もそんなに高くないですからレジャー以外の街乗りでも人気のタイプになります。ファミリーユースにはなにかと便利ですよ。チャイルドシートつけても5人でゆったり乗れます。ほーら、後ろのハッチバックがこんな風に横開きで荷物もたっぷり。え? 独身? 隣は別のご家族? じゃ、あ、そうそう、デートで喜ばれるこちらのタイプ、リクライニングがここまで倒れるんですよ……」

 お客様の雰囲気を見て、ニーズの「あたり」をつけ、質問を投げかけ商談へと持ち込む。従来なら「有能な、仕事のできるセールスマン」と評価されていた「悪くない声がけ」だったかもしれない。

 ところが最近の客はこういう「プライバシーに踏み込まれるような親しげなアプローチ」を避ける傾向にある。

 「話しかけられるのが面倒くさい症候群」が広がっている様子なのだ。

ネット通販が伸びている「本当の理由」

 薬のネット販売の自由化は先の選挙では政治的な争点の一つにもなった。

 「身体に直接影響を与える特別な商品は薬剤師という医療の専門家との対面で販売すべき」という議論ももっともな気がするが、結局自由化の方向に舵が切られたようだ。その「自由化側」の主張は、これで客側(患者側)は価格の安さ、入手のしやすさ、選択の多様化など様々なメリットを受けると言っている。

 しかし客の本音は、医者に駆けつけるほどでもない症状について「どうなさいました」と「声をかけられるのが面倒くさい」なのではないか。

 「話しかけられるのが面倒くさい」との理由でネット通販が伸びている、という私の見解(偏見?)を少々膨らませてみよう。

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「「話しかけられるのが面倒くさい症候群」が広がっている」の著者

梶原 しげる

梶原 しげる(かじわら・しげる)

アナウンサー

1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーになる。92年からフリーになり、司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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