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ウクライナ情勢に見る「政治と市場」

ロシアの介入拡大リスクは限定的

2014年3月11日(火)

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 ロシアが、ウクライナに属するクリミア自治共和国への軍事介入を決定したことを受けて、3月3日の世界の金融市場ではリスク回避的な動きが強まり、株式は下落、債券は上昇(利回りは低下)しました。しかし4日には、プーチン大統領が当面のさらなる軍事介入を否定したことから、株式は逆に買い戻され、債券は売られました。

 経験則的にはこうした地政学リスクによる株価下落は一時的なものにとどまる場合が多く、このウクライナのケースもそうなると見ています。今回はウクライナ情勢の先行きと、地域紛争が起きた場合の政治と市場の見方についてお話しさせていただきます。

「新冷戦」は非現実的

 当たり前のことですが、こうした紛争が生じた場合にまず大切なのは冷静に考えることです。早くも「新冷戦」などの言葉が新聞をにぎわしていますが、世界経済の復興がようやく始まろうとしていた第二次世界大戦直後と、各国の経済が複雑に絡み合って不可分の関係にある現在を同列に論じることはできません。

 例えば、3月5日付のロイターの報道によれば、ロシアの政府系天然ガス会社ガスプロムは「欧州大陸の天然ガス需要の3分の1を供給する最大手」です。「新冷戦」と呼ばれる事態になれば欧州はロシアから天然ガスの供給を受けることができなくなり、経済が大打撃を受けることは間違いありません。

 一方ロシアも欧州に天然ガスを販売することができなくなります。代わりの販売先を見つけることは容易ではありません。したがってロシア経済も打撃を受けることになります。この点一つを取っただけでも、「新冷戦」は非現実的であることがお分かりいただけると思います。

 日本株についても、ウクライナ情勢を理由にした下落を正当化するのは困難です。距離的に遠く、経済交流もあまりないウクライナでの出来事が日本の景気や企業業績に直接影響することほとんどありません。であればウクライナ情勢を理由にした日本株の下落は行き過ぎということになります。

 何とかこれを説明しようとしたのが、a.ロシアが欧州向けの天然ガスパイプラインを停止することによる原油高、b.ウクライナが債務不履行(デフォルト)に陥ることによる金融市場の混乱、などです。これらも「風が吹けば桶屋が儲かる」のそしりは免れないと思いますが、少し検討してみます。

パイプライン停止は取引材料

 まず天然ガスパイプラインの停止について、先ほど述べたようにロシアが一方的に長期にわたって欧州へのガス供給を停止すれば、欧州経済とともにロシア経済も疲弊してしまうため得策ではありません。この可能性はまずないといってよいでしょう。

 では短期ならどうかというと、それもあまりなさそうです。今回のクリミアへの軍隊派遣は、少なくとも表向きはクリミア自治共和国政府のアクショーノフ首相の要請を受けてプーチン大統領が決断した形です。

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「ウクライナ情勢に見る「政治と市場」」の著者

門司 総一郎

門司 総一郎(もんじ・そういちろう)

大和住銀投信投資顧問/経済調査部部長

アジア株ファンドマネージャー、チーフストラテジスト、投資戦略部長などを経て、2014年より経済調査部部長。 同社ホームページに「市場のここに注目」を掲載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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