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「理系主義」から「文系主義」に変わりつつある世界の金融政策

ガイダンスの変化に見られる英米中銀の「限界」

2014年3月14日(金)

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 カナダ銀行からスカウトされて鳴り物入りでイングランド銀行(BOE)入りしたカーニー総裁の下で、2013年8月7日に英国で導入された、超低金利政策の「フォワードガイダンス」(将来の金融政策運営方針に関する「時間軸」的なメッセージ)。

 それは、失業率に7%という数値基準を設定することによって、利上げの開始はかなり先になる見込みだというメッセージを市場に浸透させ、長期金利の低下などを通じて最大限の金融緩和効果を確保しようとするものだった。

 ところが、「失業率が3年以内に7%まで低下する可能性は小さい」としたBOEの当初予想に反して、英国の失業率は順調に低下し、昨年9~11月の失業率はILO(国際労働機関)方式で早くも7.1%になってしまった(その次の10~12月分は7.2%)<図>。

図:英国と米国の失業率
(出所)英国民統計局、米労働省

 失業率の7%への低下は利上げのトリガー(引き金)にはならない、といった総裁の発言などだけではBOEはもはや耐え切れなくなり、2月12日の四半期インフレ報告の発表時に、新たな「フォワードガイダンス」を公表することになった。だが、その中にはもはや失業率の数値基準は見当たらなかった。

金利を失業率にリンクさせるやり方を棄却

 英経済紙フィナンシャルタイムズは、金利を失業率にリンクさせたこれまでのガイダンスをBOEは「捨て去り」、具体的な予想の数字を出すことなく、金利についての考え方でこれまでよりもずっと多くの情報を公表するという新しいやり方に切り替えた、と伝えた。最初の「フォワードガイダンス」を、BOEは半年ほどしか維持できなかったわけである。

 6.5%や6%に失業率の数値基準を切り替えるという選択肢も、BOEにはあった。だが、実際の失業率がまたもBOEの予想より早くその水準に近づいてしまう場合には、BOEおよび「フォワードガイダンス」の採用を主導したカーニー総裁の信認に、かなりの傷が付いてしまう恐れがあった。

 そうした危ない橋を渡る代わりに、新たな「フォワードガイダンス」は、「失業率は急低下したものの、バンクレートの引き上げよりも前に余剰生産能力をさらに吸収する余地が引き続きある」といった、将来の利上げについて説明を加える文章がいくつも並ぶものになってしまったのである。

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「「理系主義」から「文系主義」に変わりつつある世界の金融政策」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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