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「期待インフレ率」の性格

その特性を解明・把握するのは難しい

  • 小寺 信也

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2014年3月24日(月)

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 1年後の物価水準はどの程度になっているかと考えたことはあるだろうか。テレビなどで物価の話題が出たときや、スーパーに買い物に出かけたときなど、1年後とは言わずとも今後の物価動向について期待した(考えた)ことはあるのではないだろうか。例えば、来週からセールが始まるのではないかと期待すると、今日購入する品数を減らすかもしれない。

 このように将来に対して何かを期待し、その期待により人々は行動を変化させるため、「期待」というのは経済活動にとって重要な要素の一つであると思われる。ここでは身近な家計が持つ「期待インフレ率」について、どのような水準にあり、どのような特徴があるのかについて、考察していく。

家計の期待インフレ率はどの程度か?

 買い物に頻繁に行く人であれば、品物の値段の変動についてもよく把握しているかもしれないが、物価は1年前と比べて具体的に何%変化したか、また、1年後には何%変化すると思うかと質問した場合、どう回答されるだろうか。実際にその質問を家計に対して行った調査(「生活意識に関するアンケート調査」)が日本銀行から公表されているので、これをチェックすることから始めてみたい(図1)。

 
図1 物価に対する実感と予測
(備考)日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」、総務省「消費者物価指数」により作成。

 図1では、家計の物価に対する感覚について、大きく2つの特徴がうかがえる。(1)これまで日本経済は、デフレ状況だと言われていたにも関わらず、消費者は物価が持続的に下落しているとは感じておらず、現在の物価に対する実感は、実際の消費者物価上昇率と比較して非常に高くなっている。(2)消費者の1年後の物価予想(期待インフレ率)は、現在の物価に対する実感とほぼ同程度であるが、傾向としては、実感している物価水準より若干高めに形成されている。

 家計の期待インフレ率についての調査は、日本銀行のこの調査のほかに、内閣府の「消費動向調査」も代表的である。パーセントを直接記入する前者と違い、後者の統計はレンジ(幅)での調査(現在の選択肢は「▲10%以上」、「▲10%未満~▲5%以上」、「▲5%未満~▲2%以上」、「▲2%未満~」、「変わらない」、「~2%未満」「2%以上~5%未満」、「5%以上~10%未満」、「10%以上」、「わからない」の10通り)となっているため、期待インフレ率を算出する際には、一定の仮定を置く必要がある。同調査の特徴としては、世帯の属性毎に物価の見通しを集計することが可能であり、例えば、図2のように、家計の年間所得毎に期待インフレ率を算出することができる。

図2 世帯の年間収入階級別の期待インフレ

 図2をみると、内閣府の調査でも、日銀の調査と同様、家計の期待インフレ率の水準は実際の消費者物価上昇率よりも高く、その動きは、将来の物価上昇率を予測するというよりも、現在の消費者物価上昇率の動きをトレースするような動きをしていることが分かる。また、世帯属性の特徴的な点として、グラフで表示された期間中、低所得世帯(300万円以下)の期待インフレ率は、常に高所得世帯(950万円以上)の期待インフレ率より、一貫して高いことが分かる。

 なお、内閣府調査では、日銀調査と比較して期待インフレ率が低くなっているが、理由としては、レンジの中央値よりも実際の家計の想定は高い可能性や、「10%以上」物価が上昇すると回答した人すべてを10%と仮定して試算している影響などが考えられる。

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