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東芝事件に考える、技術流出は防げるのか

日本としての対策が必要だ

2014年3月18日(火)

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 先週、技術関連分野では重大なニュースが2つあった。1つは理化学研究所が発表した「STAP細胞」に関する論文の疑惑。もう1つは東芝と提携している米半導体大手・サンディスクの元技術者が、転職先の韓国半導体メーカー・ハイニックス(現SKハイニックス)にNAND型フラッシュメモリーに関する最先端技術の研究データを渡したという不正競争防止法違反の疑いで逮捕されたことである。

 いずれも「不正行為」(STAP細胞の件に関しては、不正があったかどうかは調査中)が共通のキーワードであるが、韓国企業に勤務経験のある筆者がより関心を持ったのは後者だ。半導体の最先端技術に関する情報は産業競争力を大きく揺るがすものであるから、その影響力は甚大である。結局、東芝とサンディスクはそれぞれSKハイニックスに対し損害賠償を求む訴訟に踏み切った模様だ。

 この事件が報道された直後、筆者は某テレビ局の朝のワイドショーから電話インタビューの依頼を受けた。しかし2つの理由で「お応えしかねる」と断った。1つはとてもデリケートな問題であるため、口頭での発言はどのように報道されるかわからないリスクがあったから。もう1つは、このコラムへの執筆依頼が先だったからだ。

同業他社への移籍は日常茶飯事

 少々話が脱線したが、本題に入ろう。これまでも技術流出に関する事件は報道されてきた。記憶に新しいところでは2012年4月の事件がある。韓国の大手鉄鋼メーカー・ポスコが、新日鉄住金の元社員から鋼材に関する先端技術を入手し、新日鉄住金がポスコを相手取り1000億円の損害賠償を起こした。

 今の時代、日本企業から韓国や台湾、中国企業に移籍する技術者、アジアに限らず欧米企業に移籍する技術者は少なくない。海外に限らず、国内でも同業他社への移籍は日常茶飯事だ。筆者にも自動車大手間や電機大手間で移籍している技術者の友人がいる。

 この競合他社への移籍こそが一番の問題を生じやすい。逆に異業種への移籍であれば、ほとんど問題は起こらない。業界が違えばビジネスモデルは同一にならないからだ。しかも、技術者が持つ技術そのものではなく、これまでの技術開発のキャリアやポテンシャルを評価されてのケースが大半だ。

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「東芝事件に考える、技術流出は防げるのか」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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