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移民政策はオーストラリアに学べ

少子高齢化、フロントランナーの日本が学べる数少ない教訓

2014年3月20日(木)

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 人口動態と長い目で見た場合の経済成長の関連について、オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ副総裁が3月12日、「人口動態、生産性そしてイノベーション(技術革新)」というテーマで興味深い講演をした。

 RBAの幹部によるそうしたテーマの講演ということになると、スティーブンスRBA総裁が09年11月に行った講演「繁栄への道のり」も、筆者には印象的だった。同総裁はそこで、移民を中心とする人口増加<図1、図2>がオーストラリア経済を需要と供給の両面で強化しているのだと強調していた。

図1:オーストラリアの総人口
(出所)オーストラリア統計局
図2:オーストラリアの人口増減(前四半期末比)の自然増・移民別内訳
(出所)オーストラリア統計局資料から筆者作成

 移民は自分が住むための家が必要だし、働きながらさまざまなモノやサービスも買う必要がある。経済の供給力と需要の双方を彼らは生み出す。若い移民の家庭では子どもが生まれるので、住宅の需要は時間の経過とともに一層増加していく。政府による都市部のインフラ整備も必要になる。

 一方、ロウ副総裁による今回の講演は、生産性やイノベーション、リスクテイクといった、上記のスティーブンス総裁講演とは違う角度からのアプローチである。

2000年代に生活水準は向上

 オーストラリア経済は2000年代に、資源価格の高騰と労働市場参加率の上昇を追い風にして堅調な成長を遂げ、人々の生活水準は向上した。だが、過去10年間は労働生産性の伸びが鈍化し、商品市況はなお高水準ではあるものの上昇は止まり、労働市場参加率は低下に転じた。こうした状況がそのまま続くと生活水準の改善がかなり鈍くなってしまう。

 そこで必要になる対応は、労働生産性の上昇である。それには、社会がイノベーションを実現する能力、リスクをとってそれをマネージする能力、変化する世界に迅速に対応する能力が重要と考えられる。だが、人口の高齢化が進んでいくと、リスク回避志向が強まりやすくなり、イノベーションを起こして生産性の上昇を実現する上では逆風になるのではないか。ロウ副総裁はそうした危惧の念を表明した。

 もっとも、副総裁は悲観論に傾斜したまま講演を終えたわけではない。オーストラリアの人口動態を根拠にして、楽観論をとる理由があると結論づけた。講演の最後のところには以下のくだりがあり、筆者は強い印象を受けた。

 「もし人口が急速に増加していれば、市場の全体規模は毎年大きくなっていく。このダイナミズムは新たな機会を提供し、リスクをとることの見返りを大きくすることができる」

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「移民政策はオーストラリアに学べ」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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