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「艦これ」の娘たちとはしゃぐ中国の若者

2014年3月27日(木)

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「こ、これは……『艦これ』ですか?」
「えっ? あ、はい! そうです。あの、すみません。あなたは日本人…ですか?」
「ええ、そうですけれど…。これは自分で描いたものですか?」
「はい。自分で描きました。感激です…日本人…。恥ずかしいですが、よかったらこれ(イラスト集とクリアファイルを差し出して)、記念に持って帰ってください!」

 中国・南京でアニメやゲームの同人イベントが開かれると聞き、足を運んでみた。

 会場に足を踏み入れてみると、100以上のブースが置かれ、10代後半から20代半ばと思われる中国の若者たちが自分で書いたイラスト集やクリアファイル、缶バッジ、メモ帳、ノート、ボールペン、キーホルダー、紙袋などを販売していた。その中に上記の男子大学生(21歳)もいて、私に商品(会場でのお値段は60元=約1000円)をプレゼントしてくれた。

 中国には日本のアニメを見て日本好きになった若者が大勢いるが、本当に「艦これ」まで流行っているとは…なんとも衝撃的だった。

 「艦これ(艦隊これくしょん)」とは、旧日本帝国海軍の艦船を「萌えキャラクター(簡単に言うと、アニメ絵の美少女)」に擬人化したゲームだ。美少女たちは「艦娘(かんむす)」と呼ばれ、彼女たちをゲームの中での海戦を通して育てていくというのが、おおまかな内容。敵役は連合国ではなく「深海棲艦(しんかいせいかん)」と呼ばれるモンスターたちだ。

 と、もっともらしくご紹介したが、私はもともとアニメやゲームの知識はほとんどない。中国取材に行く前に「同人イベントの取材にも行きたいと思います」と、担当編集者Y氏に話したところ、打てば響くように「艦これ」の名前が出てきた。どうやらY氏はこのゲームが大好きな模様…(誤解です。Y)。

 Y氏は「いま日本の同人では大人気なんです。で、萌えキャラはすべてIJN…ああ、Imperial Japanese Navy(大日本帝国海軍)の艦船のスペックや歴史が題材になっている。元ネタが元ネタでしょう? 果たして、中国の人はこういうものを許容するのでしょうか?」と聞いてきたのだが、私には何のことやらさっぱり。「う~ん、どうなんでしょうね(笑)」とお茶を濁してその場は終わった。

 だから、はるばる南京まできて同人イベントで売られているのを見たときに「あっ!」と思ったのだ。「本当にあった」と。

「日本語」「日本人」に会場から熱い視線

 そもそも私はこういう場に来たのは生まれて初めてだ。では、なぜ来ようと思ったのか。日中関係がここまで悪化する中で、ほとんど唯一といっていいほど無防備に「日本大好き」と公言してくれている中国人は、日本のアニメやゲーム、アイドルファンなどのオタクの若者たちだ。彼らの生の声をもっと聞いてみたい。そうした思いから、場違いなところに来てしまったのだ。

 会場ではあちこちにコスプレをする人が立っていて、それをアマチュアカメラマンらが熱心に撮影していた。私と一緒に行った日本人の後輩が日本語をしゃべっていると、みんなから熱い視線を浴びせられる。この空間では日本人は「憧れ」の対象だ。

 そんな彼らは、冒頭のエピソードの通り、「艦これ」も十二分に許容していた。それどころか、イラストも描き、グッズも作り、仲間と「この艦娘のここのラインがかわいいよね~」などとマニアックな会話までしていた(申し訳ないことに、私にはどっちの言語でも単語レベルで意味不明だったが)。

 このあと、上海で日本のゲーム・アニメ好きの若者3人に集まってもらったときにも、この話題を振ってみた。すると、「自分もやっていますよ。『艦これ』が好きな友だちもいます」という答えが平然と返ってきた。

左のクリアファイルの女の子は、「ハオ」さん描く「金剛」、右の表紙は「Samail」さんの「島風」。このイラスト集はすでに昨年末に、日本の「コミックマーケット」で頒布されていたようだ。

「ええと、でも、あれは旧日本海軍の艦船が題材だけど、その点については…その…」
 と私が口ごもっていると、会社員の朱さん(仮名、26歳)がきっぱりとこういった。

 「歴史は歴史です」

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「「艦これ」の娘たちとはしゃぐ中国の若者」の著者

中島 恵

中島 恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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