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「スノーデン事件」で露呈した日本という国の脆弱性

第1回 世界平和研究所主任研究員の大澤淳氏に聞く

2014年3月27日(木)

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 1973年に米国防総省へ入省して以来、一貫して情報分野を歩み、大統領の情報問題担当補佐官を10年以上に渡り務めたリチャード・A・クラークはその著書(『世界サイバー戦争 ―核を超える脅威 見えない軍拡が始まった―』)の中でこう断言しています。

 「サイバー戦争は現実であり、すでに始まっている」

 そして、サイバー戦争は世界の軍事バランスを覆すだけでなく、世界の政治経済の関係をも一変させる恐れがあると付け加えています。その指摘通り、2007年のエストニア、2008年のグルジア、2009年の韓国と米国、2010年のイラン、2012年のサウジアラビア、2013年の韓国、そして2014年のウクライナと、国家の重要インフラや主要企業のネットワークに対するサイバー攻撃は増すばかりです。

 こうしたサイバー攻撃の背後に、国家間の安全保障上の対立が横たわっていることは間違いなく、それは日本にとっても無縁の問題ではありません。むしろIT(情報技術)化が進み、通信インフラやインターネットの環境が整っているにも関わらず、サイバー空間の問題に対して危機感が薄い日本は、中国や北朝鮮といった「サイバー攻撃先進国」の格好のターゲットになっているのが現状です。

 そして、モバイルから企業インフラ、自動車や家電製品といったモノまでがネットワークで繋がる今、サイバー空間の問題は国家間だけでなく、全ての人々の生活や社会活動に大きく関わる重要な分野でもあります。

 そこで本コラムでは、サイバー分野の第一線の論客をゲストに招き、我が国を取り巻くサイバー空間の現状と今後の対策について論じたいと思います。

 第1回目の本稿では、安全保障問題の専門家でサイバーインテリジェンスにも詳しい、世界平和研究所の大澤淳主任研究員をゲストに招き、世界中を騒がせた「スノーデン事件」から「ホワイト・ハッカーの育成問題」まで、日米を取り巻くサイバー空間の最新事情について聞きました。

(聞き手はサイバーセキュリティ・ラボ「スプラウト」代表・加藤康之)

世界平和研究所の大澤淳主任研究員

加藤:大澤さんは2013年8月から12月まで、米国のブルッキングス研究所の招聘給費客員研究員として渡米されていました。サイバー空間の最前線である米国で様々な情報に触れられたと思いますが、NSA(米国家安全保障局)の元職員であるエドワード・スノーデンが政府情報をリークした、いわゆる「スノーデン事件」についてはどうご覧になられましたか?

大澤:米国にいて面白いなと感じたのは、スノーデンがリークした情報について解説する記事が数多く出ていたことですね。ニューヨークタイムズやワシントンポスト、それにイギリスのテレグラフといった主要メディアが盛んに報道を繰り返していました。彼らの記事は実に面白く、たとえばワシントンポストは「米国のインテリジェンス・コミュニティが、どれ位の予算をもらっているか?」という特集を組んでいました。この記事によれば、米国の2013年度の予算はCIA(米国中央情報局)が147億ドル、NSAが108億ドルとなっています。

加藤:それぞれが1兆円を超える予算とは、かなり大きな数字です。でも、これは「Black budget」(軍事研究や秘密工作に割り当てられる表にでない予算)に関する記事ですよね。本来、こういった情報はトップシークレットなのでは?

大澤:ええ、その通りです。もちろん「公式」にはインテリジェンス・コミュニティの予算やスタッフの人数が表に出てくることはありません。

加藤:一般に公開されている予算案を見ても、どの組織がどれくらいの予算を持っているか分かりませんよね。ただ、インテリジェンス・コミュニティと呼ばれる諜報機関内にも予算の分類はあるわけで、スノーデンはそういった情報を暴露したのですね。

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「「スノーデン事件」で露呈した日本という国の脆弱性」の著者

加藤 康之

加藤 康之(かとう・やすゆき)

スプラウト取締役

松下政経塾一期生卒業。日米経済摩擦解消のためのプロジェクトに携わり、1991年に渡米。2013年、サイバーセキュリティー分野を専門とする株式会社スプラウトを設立、代表取締役社長を務める。2015年2月から取締役。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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