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3本の映画に見るリスク資産の将来像

「中国経済はミンスキー・モーメント直前だ」

2014年4月1日(火)

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 国際金融市場は年初からアルゼンチンやトルコなど新興国問題に揺さぶられ、ウクライナ問題ではロシアのプーチン大統領の挙動、中国経済では社債デフォルトの発生といった材料にも振り回された挙げ句、リスク資産の最後の頼みの綱でもあった「金融緩和」においても先月のFOMC後の記者会見でイエレンFRB議長から「来年春には利上げも」とのお告げが出るなど、昨年の華やいだムードとは180度違った地合いに転じている。

 加えて3月第2週には海外勢の日本株売り越し額が1987年のブラックマンデー以来の水準に上ったことは、市場に広がる「アベノミクス失望感」を裏付ける証のようにも見え、政府や日銀が放つ「消費税増税後も景気は順調」との見方にも強い疑問符が突きつけられている。仮に中国経済が腰折れとなれば、逆風は暴風雨にもなりかねない。桜は見頃を迎えているが、市場は冬眠状態へと逆戻りするリスクは無視できまい。

米の量的緩和が最終段階に向かっているのは事実

 もっとも、米国株市場にそこまでの悲壮感はなさそうだ。確かにイエレン議長の「量的緩和から利上げまでの期間は6カ月」という失言に近い発言はショッキングであったが、冷静に100億ドルずつの緩和縮小ペースで計算してみると、量的緩和が実務的に終了するのは来年1月であり、その半年後は来年7月である。下半期に利上げとの市場予想とそれほどかけ離れている訳ではない。

 また、昨今の米国経済の成長鈍化は悪天候によるものと説明されているが、住宅や消費、雇用には別の下押し要素も見られており、新興国など海外要因に引きずられてこのまま減速する可能性もある。ディスインフレ傾向と長期失業者問題を抱えたままでの利上げは、それほど容易ではない。低金利の終焉時期は、イエレン議長の見込みよりも大幅に先送りされる可能性もありそうだ。

 とはいえ、米国の量的緩和が最終段階に向かっているのは事実である。2012年9月から始まったFRBによる資産買い入れで市中に放たれたドルは、米国内の株や不動産、ジャンク債、そして新興国の国債や株へと向かっていったが、新興国からの資金流出は既に始まっており、米国市場では「次に来る荒波は国内株や債券からの資金流出だ」との警戒感が強まっている。

市場を「トゥルーマン・ショー」に喩えて警告

 そんなリスクを、ある映画に喩えながら解り易く説明した著名なファンド・マネージャーの投資家向けレターが話題になっている。それは、ヘッジファンドのバウポスト・グループ(Baupost Group)を率いるセス・クラーマン氏が「やがていつの日か投資家は金を失う日がやってくる」と警告したものである。

 海外主要メディアがこぞってその内容を紹介したのは、同氏がソロス氏やポールソン氏らと並んで人気の高い人物であるだけでなく、市場に浸透しつつある「量的緩和終了後の恐怖感」を簡潔にそして的確に言い表したからでもあろう。株式市場だけでなく債券市場のバブル性にも言及しながら、クラ―マン氏が量的緩和に依存した市場の情景を映画「トゥルーマン・ショー」に喩えて描写したくだりは、実に巧妙であった。

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「3本の映画に見るリスク資産の将来像」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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