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放送禁止用語になった「タガメ女」

2014年4月4日(金)

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 昨年5月の連休明けに「“幸せな結婚”という偽装工作で男をハメる“タガメ女”とは」という記事が日経ビジネスオンラインに掲載されたのをご記憶の読者もいらっしゃるかもしれない。「タガメ女」とは、昨年4月に講談社から刊行された『日本の男を喰いつくす「タガメ女」の正体』という新書で初めて紹介した筆者の造語で、水生昆虫タガメが鋭いくちばしを獲物のカエルやメダカに挿し、身体を溶かして養分を吸い取るように、「結婚」という「タガ」を配偶者にはめてそのリソースを吸い取る姿を表したものだ。

 記事も功を奏してか、同書には発売直後からインターネットなどで賛否両論が寄せられた。その反応はおよそ以下のどれかに分類される。

 まず1番目は、同書が専業主婦をターゲットにした辛辣かつ悪意ある「主婦批判本」だとして、それに対する怒りと攻撃性を露わにした反応。2番目は「ああ! こういう人私の周りにもたくさんいる!」と共感と同意を込めた感想。3番目は、そういえば自分自身も思い当たる節があるけれど、そのことを認めるのは難しい…という自己反省的なもの。そして4番目は、「これまでの自分自身の苦しみの正体はまさにこれだ! よくぞ勇気を持って取り上げてくれた!」という、タガメ女の配偶者ないしは配偶者だった経験のある男性からの(時に涙ながらの)熱いメッセージ。これらがネット上で飛び交い、ちょっとした「タガメ女論争」が起きた。中には本が出版される前から、表紙の絵とタイトルを見ただけで「こんなタイトル付けるだけでもう終わっている。読む価値なし」と本文を一文字も読むことなく憤懣をぶつける人もいて、ツイッターは一時炎上した。

 挑戦的なタイトルと表紙の本を出しておいて言うのも何だが、同書は決して専業主婦攻撃が目的なのではない。現代の男性中心の会社社会の中でどうしても労働市場の周辺に追いやられ、「結婚」「育児」によって仕事の第一線から退くことを余儀なくされ、結果として「大黒柱」である男性を通じて社会的リソースを吸い取る生き方を選ばざるを得ない日本の女性の境遇を考えれば、「幸せ」の条件とされていることは必ずしも真ではない、ということを問題提起したかったのである。そしてそんな「タガメ女」に吸われつつ、サラリーマン社会で歯を食いしばって生きる「カエル男」も必ずしも幸福ではない。

 前著のタガメ女本に続いて半年後には、カエル男の生態を描いた『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』を出版し、両者は今、セットで書店に並んでいる。

 しかし興味深いのは「カエル男本」が出版された際は、同じように挑発的な装丁とタイトルであるにもかかわらず、そのような過熱した反応は一切見られなかったことだ。理由はいくつか考えられるが、(1)男性は、家庭の中では周辺に押しやられていても、社会や会社組織では優位な地位を占めているので、少々攻撃されても余裕を持って受け止めることができる、(2)あまりにも真実に肉迫した本質を突く内容であったため、表立って騒ぐこともできず、ただうなだれてその過酷な現実を受け止めている、(3)カエル男の多くは実は心が弱く、ヒステリックに怒りをぶつけることができないため、心の中では怒りを感じていても表現することができずに我慢している、(4)表紙とタイトルを一見しただけで心が暗くなりそうなので、現実を直視することに耐えられず、目を背けている。といった可能性が挙げられそうだ。

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「放送禁止用語になった「タガメ女」」の著者

深尾 葉子

深尾 葉子(ふかお・ようこ)

大阪大学大学院経済学研究科准教授

1987年、大阪市立大学大学院前期博士課程東洋史専攻修了。中国内陸農村部における環境問題の社会的歴史的分析などを手がける。著書に『魂の脱植民地化とは何か』(青灯社)など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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