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深刻な中国大気汚染、電動車両は救世主になるのか

政策と実態の大きな乖離

2014年4月10日(木)

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 微粒子状物質「PM2.5」をはじめとする大気汚染物質の問題について、解決の糸口が見えない中国。先週の日本経済新聞に興味を惹く、というよりも中国の呆れる実態が記事として掲載されていた。「中国、根深い大気汚染」と題した記事である。

 記事の内容は、新型車両ですら窒素酸化物処理の触媒装置が搭載されていないというもの。環境規制をクリアした車両のみを販売できる中国では、自動車メーカー各社は新型車両を投入するたびに政府から型式認証を得ているが、消費者が触媒装置を搭載するトラックを欲しがらないという理由で、認証を得た後に触媒装置を外して安く販売することが横行しているという。こうしたトラックであっても顧客がナンバープレートを入手できるのだから政策は形骸化していると記事では指摘していた。

 しかも石油業界はガソリンの燃料改質に消極的という。排ガス規制の導入を遅らせているのもナンバープレートを発給する地方の公安当局と石油業界との根深い癒着が根底にあると書かれていた。

 こうした様々な問題を抱える中国だが、政府は「新エネルギー自動車」として電気自動車(EV)の導入へ大きく舵を切ろうとしている。だが、冒頭の記事の例を見ていると、この政策は本当に大気汚染の救世主になるほどの価値と意味があるのだろうかと感じてしまう。

 筆者は今年4月上旬、中国・北京と長春にある自動車メーカーや部品メーカー、国や大学の研究機関を訪問する機会があった。今回のコラムでは、訪問時に得た中国の電動車両の現状を報告するとともに、今後の行く末を分析してみたい。

電動車両開発に各社が舵

 遡ること1990年代後半から2000年頃にかけて、中国政府の関係者が日本をたびたび訪問していた。日系自動車メーカーがEVやハイブリッド車(HEV)を市場に供給していることに大きな関心を示し、中国でも推進したいという考えがあってのことだった。筆者が在籍していたホンダの研究所にも御一行が訪れていたが、その時の筆者の想いは、自動車の電動化よりも先に取り組む事項が多々あるのではないかということだった。

 そして今回、各社、各機関、さらに実際の自動車市場の実態を見ると、それなりに進化している部分はある。フォルクスワーゲン、ゼネラル・モーターズ(GM)、BMW、日産自動車、トヨタ自動車、ホンダ、現代自動車の車があちこちで走っている姿は、消費者の購買力が高まったこと、車の選択肢が増えたことによる大きな流れを感じる。

 しかし、連日のように北京のPM2.5が1立方メートル当たり200μgを超える状況(4月1日は270μg、最近は気温が20度を超えるようになり低下傾向、真冬は400μgを超えていた)は、日本の基準値70μgの3倍にも達している。

 工場からの悪質な排煙、家庭の暖房手段としてランニングコストの安い豆炭・練炭の類の大量消費、大都市の慢性的な渋滞と排ガスによる大気汚染――など実態は、EVを中国の政策として後押ししようとする政府の考えが本当に正しいのか疑問を感じるところである。

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「深刻な中国大気汚染、電動車両は救世主になるのか」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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