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「新型大国関係」を持ちかける中国と様子見の米国

習近平が強める大国志向

2014年4月10日(木)

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 「大国間の関係は変わらなければならない。中国は冷戦時代のソ連ではない。中国の台頭はアメリカの利益と必ずしも衝突しないし、米中は平和的に共存できる。中国はそういう新しいタイプの大国関係をアメリカ側と築きたいと考えている。要するに、大国の台頭を説明してきた伝統的論理――新興の大国と既存の大国は必ず衝突する――は打破されるべきということだ」

 2012年7月のある日、筆者は北京の片隅で、米国との外交関係を担当する共産党幹部と向き合っていた。中国での9年半の生活をとりあえず終え、渡米を目前に控えた時期だった。

 「ハーバード大学では米中関係を中心に研究する予定です」

 筆者が渡米の目的をこう説明すると、先方は冒頭のコメントを返してきた。彼が言ったことは決して的はずれなものではない。米中の狭間で戦略的に国益を追求していかなければならない日本にとっても、米中関係が、冷戦時代の米ソのようにイデオロギーと国益を巡って闘争を続ける状態に陥ることは好ましくない。

 「それは非常に重要なポイントですね」と相槌を打ち、単刀直入に尋ねた。

 「アメリカサイドも昨今の対中関係を冷戦時代の対ソ関係のように扱いたくはないでしょう。ただ、中国のリーダーたちが不断に表明してきたように、冷戦は終わっても、中国は社会主義国です。そして共産党による一党支配だけは揺るぎないものにしようとしているし、これからもそうするでしょう。アメリカサイドはそんな中国をやはり色眼鏡で認識するはずだ。それに、新しいタイプの大国関係と主張するからには、中国がどんな大国を目指しているのか、台頭の意図は何なのか、アメリカはそこに関心を示し、かつ警戒するでしょう。その問いに答える準備はできているのですか?」

 先方は次のようにコメントした。

 「大国の定義と台頭の意図に関しては党内でも様々な意見や論争がある。党内外の関係者の考えなどに引き続き耳を傾けつつ、情勢を見極めながら、アメリカ側と柔軟に対話していくことが重要だと考えている。まだまだ米中間で摺り合わせをしている段階だ」

 2012年8月から2013年6月まで、筆者はハーバード大学ケネディースクール(公共政策大学院)で米中関係の研究に勤しんだ。(1)いまだ対等ではない米中がどのような関係を構築していくのか、(2)米国の戦略家や中国問題専門家が中国の台頭をどのように認識しているのか、という2点を米国サイドで掘り起こすことが目的だった。

 2012年の後半は、米中にとってターニングポイントとなり得る時期だった。中国では胡錦濤氏から習近平氏へ政権交代が進行し、アメリカではオバマ大統領が再選を目指していた。これは良いケーススタディーになると思った。お互い何らかの形で政権が変わる節目の年に、米中が互いの存在をどう認識し、どういう理念と戦略を持って米中関係を構築していくのかを、ボストンという知的集積地&発信地で眺め、考えてみたかった。

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「「新型大国関係」を持ちかける中国と様子見の米国」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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