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短期的な指標で長期的な意思決定を行うのは危険

注目度高い今後のGDP統計(下)

2014年4月23日(水)

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 前回は、駆け込み需要が大きくGDP統計に影響することを見た。その結論は、(1)1-3月期は駆け込み需要の発現によって高めの成長率となる、(2)4-6月期は、駆け込みの反動が2倍となって成長率に影響し、かなり低めの成長率となる、(3)7-9月期は平時のGDPに戻るため「反動の反動」が現れて、再び高めの成長率となるということだった。

 以下、この駆け込み需要がGDP成長率に与える影響について、さらに踏み込んで考えてみよう。なお、今回の議論はGDP統計の細部にわたっており、ややマニアックである。したがって読者の中には、その議論の細かさにうんざりする人が出るかもしれない。しかし、私の授業では「疑問を持ったらマニアックにしつこく考えた方が良い。そうすれば他の人と違った考えが出てくる可能性が広がる」と教えているので、教える立場としてはそれを実践するしかないのだ。

在庫の変動はどの程度GDPの変動を小さくするか

 まず、やや気が付きにくい要素として、在庫の変動がある。

 前回、四半期ベースで見ているのは「支出サイドから見たGDP」だということを説明したのだが、その際に「総需要」と「総供給」は事後的には等しいという前提を置いていた。要するに、「購入する財貨・サービス」と「生産して供給される財貨・サービス」は等しいというわけだ。確かに、「購入した」ということは、必ずそれを「生産した」わけだから、両者は等しいように見える。

 しかし、よく考えてみると「待てよ」という気にもなる。作ったものが全て売れるとは限らないからだ。例えば、自動車会社が、今年は100万台自動車が売れるはずだと考えて生産したら、90万台しか売れなかった場合はどうか。需要と供給は一致しないではないか。

 GDP統計はこの問題を「在庫」によってうまく処理している。「総需要」の中には「在庫投資」という項目があり、仮に自動車の例で説明した売れ残りが出た場合には、その自動車会社が「在庫投資」を増やしたと考えるのである。逆に、予定よりも売れすぎて、バッファーとして保持していた手持ちの在庫が減ったような場合は、「マイナスの在庫投資」を行ったと考えるのである。

 この「在庫」という便利な需要項目の存在を考慮すると、経済全体の総需要と総供給は、事後的には必ず一致することになるのだ。

 この在庫の存在を考えると、前回説明したような駆け込み需要の発現が、必ずしもそのままGDPの変動に結び付くわけではないということになる。

 例えば、極端な例として、本年1-3月期にスーパーで販売しているトイレットペーパーに駆け込み需要が発生し、通常は500ロールだった売り上げが1000ロールに増えたとしよう。この時、このスーパーは倉庫に予備の在庫を持っており、この在庫を取り崩して500ロールの需要増に対応したとする。この場合は、1-3月期のGDPは不変である。駆け込みによって消費需要が増えたが、それと同じだけ「マイナスの在庫投資」が発生し、差し引きゼロとなるからだ。

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「短期的な指標で長期的な意思決定を行うのは危険」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官