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中国の「反日カード」を、日本の「日常」で無効化しよう

2014年4月25日(金)

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 私はこれまで「普通の中国人」に的を絞って記事を書いてきたが、コメント欄などで感想を読ませていただくたびに「中国の現状について、根本的な勘違いがあるのでは…」と感じることがあった。ずっと考えてきたのだが、先日の中国取材でその理由の一端を掴んだ気がした。

 普通の中国人の考え方などは紹介したけれど、彼らの日常生活についてはあまり触れていなかった。彼らの日々の暮らしが、我々日本人のそれとはかけ離れていることに、多くの日本人は気づいていないのでは? そして、そもそも「こと『生活』においては、私たちと中国人は同じ土俵に立っていない」ことを認識していないのではないか? と思ったのだ。

 そう書くと意外に思われるかもしれない。

 「えっ、どういう意味? 中国はもうGDP世界第2位の経済大国になったんでしょ? 少なくとも北京や上海などの都会の人はかなりお金持ちになったんでしょ?」と。

ビジネスホテルひとつとっても…

 テレビで見る北京や上海は高層ビルが立ち並び、人々は贅沢な食事を楽しみ、ショッピングセンターも活気にあふれているように見える。ベンツもBMWもたくさん街を走っている。物価もぐんぐん上昇して日本に近づいた。

 顔立ちも街の風景も、日本と非常に似通っているために、日本人は「中国の大都市はもう日本と肩を並べるレベルになったんだろう。いや、すでにある面では日本を追い越しているのでは」と勘違いしてしまうのだ。

 だが、一見した街の風景だけでは分からない差が、日本と中国の日常には存在している。

 日々の生活で味わう小さな出来事における日中のギャップはとてつもなく大きい。特に、私が最も強く感じるのは、小さな日用品やインフラの質の埋めがたいほどの格差だ。

細かいが重要な「生活インフラ」が段違い

 たとえば、私は中国出張中、限りなく3つ星に近い4つ星ホテルに宿泊するが、そのサービスや質は日本の5000円以下のビジネスホテルよりもずっと下だ。ロビーには豪華な装飾があるし、Wifiは通じるし、バスタブもある。見た目も設備も、日本のビジネスホテルとほとんど同じだ。

 だが、ポットの横に置いてある紅茶のティーバックを開けようとしても、なかなか開かない。袋の切り込みがちゃんと入っていないからだ。歯磨きのチューブの蓋もきちんと噛み合わず、閉まらなかったりする。お風呂にお湯をためて入ったあとは、排水がきちんとできていないので、トイレの前まで水浸しになってしまう。こんなことは日常茶飯事だ。

一見、日本のビジネスホテルと同じコーヒーやお茶のパック。しかし、味はともかく封の開けやすさが違う。

 日用品で最も日本との違いを実感するのは、ノートやボールペンの品質だ。

 中国のノートはちょっと強く書くと紙に穴が開き、ボールペンはすぐにかすれて書けなくなる。外出先でストッキングが切れたときも、間に合わせで買うストッキングは、価格は日本並みにするくせに、半日穿いたら伝線してしまう粗悪品ばかり。

日系コンビニの文房具売り場と、衣料品店にあったストッキング。見た目も価格も日本のそれとほとんど変わらない。だが、品質は大差がある。

 「日本で売られている文房具やストッキングも多くが中国製なのに?」。もっともな疑問だが、日本で売っている中国製品と、中国で売っている中国製とは雲泥の差がある。

 以前、香港在住の友人がフェイスブックに「日本のコンビニで150円くらいで売られているエクレアはすごくおいしい。あれと同じレベルの商品は、香港では1000円出しても買えない」と書いていて、思わず「その通り!」と唸ったが、中国でも同様だ。買えないどころか、それだけ「低価格で高品質」のものは中国中どこを探しても売っていない。10万円の高級輸入ワインはよく目にするのに、「日本に普通にある、ちょっといいもの」は中国には存在しないのである。

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「中国の「反日カード」を、日本の「日常」で無効化しよう」の著者

中島 恵

中島 恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長