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10年間大きく変わっていないエネルギー基本計画

むしろ、脱原発・原発推進を決めるのはこれから

2014年4月24日(木)

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 新しいエネルギー基本計画が閣議決定された後に、一部のブログが盛り上がりました。その内容の多くは、今回のエネルギー基本計画を大きく批判するものです。もちろん、批判するのは必要ですし、そういう批判が積み上がってこそ、物事が前に進む側面があることは事実でしょう。しかしながら、どうも批判が単調な感じがします。

 本稿は少し読みにくいので、あらかじめ結論を先取りしておきましょう。過去10年の資料に目を通してみると、(1)民主党政権と自民党政権の間で原発の方針に大差はないこと(むしろ民主党時代が原発推進の絶頂期だったこと)、(2)最新のエネルギー基本計画も「2030年代までに原発ゼロ」という方針から大きく逸脱しているように読めないこと、(3)だからこそ、脱原発・原発推進が決まっていくのはまさにこれからの議論を待っていること、が見えてきます。本稿では、2003年からの文書の変遷を手がかりに、上記の仮説を検討してみたいと思います。

見出しの憶測論調、1バージョンを切り取った単純批判

 本論に入る前に、なぜネット上で繰り広げられる直近のエネルギー基本計画への批判が薄っぺらく見えるのかについて考えてみましょう。ひとつの理由としては、そもそも経済産業省の資源エネルギー庁からタダで手に入れられる基本計画そのものすら読まず、切り取られた新聞や雑誌記事だけをもとに憶測ベースでものを語っているというのがあります。

 少なくない「切り取り論調」は、「民主党の掲げた原発ゼロから、自民党は一転して原発を重要なベースロード電源としている(すなわち、これからまた原発稼働を進めていくつもりだ!)」というもので、これを受けて、フェイスブックやツイッター、ブログでは「自民党はこれから原発をまた進めていくつもりだ、けしからん」といった論調で染まっているようです。

 これより少しましなのが、エネルギー基本計画そのものを読んだ批判です。しかしながら、これらの批判も、過去から現在に至るまでの議論の変遷をほとんど読んでいないのが実状で、言葉狩りが多く、エネルギー基本計画に対する批判を薄いものにしてしまっている印象を受けます。

 組織の刊行物には独自の文法が存在しているので、その文法を浮かび上がらせるためには、過去から現在にいたるまでの文書の書きぶりの変遷には目を通しておくべきでしょう。というのも、こういった重要文書は、その発行を前にして相当に議論が積み重ねられるものなので、実はとても味わい深い内容になっていることが多いのです。官僚の方とお仕事を1度でもしてみると分かりますが、彼女・彼らは、言葉の一つひとつにきちんと意味を込め(あえて意味を持たせない場合も含め)最終文書を決定させています。

 業界のプロであれば、レポートを1つ読んだだけでその行間を読むことができるのですが、それができない私のような門外漢であっても、過去の刊行物と比較をすることで、何が論点になったのかを垣間見ることができるようになります。

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「10年間大きく変わっていないエネルギー基本計画」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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