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「ブレスト」のアイデア出しは、実は効率が悪い!

IDEOのケースから分かる思いがけない別の効能

2014年4月30日(水)

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 本連載では、昨年まで米国のビジネススクールで助教授を務めていた筆者が、世界の経営学の知見を紹介していきます。

 さて、みなさんの中には、新しいアイデアを出すために「ブレイン・ストーミング」をする方も多いかと思います。複数の人が共にアイデアを出し合うブレイン・ストーミング、いわゆる「ブレスト」は、ビジネスでは新製品企画、キャンペーン企画などの「新しいアイデア出しの場」としてよく使われています。

 ブレストの目的が「アイデアを出す」ことなのは、みなさんの共通認識でしょう。ところが世界の経営学研究では、「ブレストでアイデアを出すのは、実は効率が悪い」という結果が得られています。まるで本末転倒な印象ですが、しかしこれは、ブレスト研究者の間ではよく知られたことなのです。

 なぜブレストはアイデアを出すのに、むしろ効率が悪いのでしょうか。今回は、「組織に求められるブレイン・ストーミングのあり方」について、世界の経営学の知見を紹介していきましょう。

ブレストではアイデアを出せない

 「アイデア出しが目的のはずのブレストが、アイデアを出すのに効率が悪い」ことは、「プロダクティビティー・ロス」という矛盾として、経営学や社会心理学では古くから知られてきました。このテーマに関する研究の多くは、実験手法からその傾向を見つけています。

 この手の研究では、たとえば数十人を集めて5人ずつの組を作り、「5人が顔を突き合わせてブレストする組」と「5人が個別にアイデアを出して最後にアイデアを足し合わせる組」に分けて、それぞれから出てきたアイデアを比較します。そして多くの研究で、前者よりも後者の方が、よりバラエティーに富んだアイデアが多く出ることが示されているのです。

 たとえば、米シラキュース大学のブライアン・ミューレン氏ら3人の研究者が1991年に「ベイシック・アプライド・ソーシャルサイコロジー」に発表した論文では、「メタ・アナリシス」手法を使って、それまでに発表された18本のブレイン・ストーミングの実証研究結果を集計した分析をしています(メタ・アナリシスについては本連載の2013年12月配信回をご参考ください)。そして過去の研究の総合的な結果として、やはり個人がバラバラでアイデア出しをする方が、ブレストよりも、出てくるアイデアの数(バラエティー)も、アイデアの質も高まる傾向を示しています。

ブレストはなぜ失敗するのか

 なぜブレストではプロダクティビティー・ロスが起きるのでしょうか。経営学・社会心理学では、2つの説明が主にされています。第1は「他者への気兼ね」です。複数人だと、どうしても「自分のアイデアを他の人はどう評価しているか」が気になります。もちろんブレストでは「他人の意見を否定しない」ことが基本ルールなのですが、それでもやはりヒトは他人の評価を気にするものです。この気兼ねにより、参加者からは思い切った意見が出にくくなります。

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「「ブレスト」のアイデア出しは、実は効率が悪い!」の著者

入山 章栄

入山 章栄(いりやま・あきえ)

早稲田大学ビジネススクール准教授

1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。2008年、米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号(Ph.D.)を取得、米ニューヨーク州立大学ビジネススクール助教授を経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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