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ディスインフレの風とウクライナの嵐

ドル安・ユーロ安・円高の可能性

2014年5月7日(水)

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 金融市場にはサプライズが付き物だが、今年は各国で例年と比べその数が多いような気もする。日本では、株価の大幅上昇を見込んでいた強気筋の目論みは大きく外れ、円安効果が期待されていた輸出はほとんど伸びずにドル円は完全に頭打ち状態になり、日本銀行は想定外の追加緩和要求のコールに頭を悩ませている。

見通し大外れの市場

 海外市場においても、株や債券、商品など多くの市場でサプライズが生まれている。米国市場での最大の「想定外」は、債券と株式のパフォーマンスであろう。期待値の大きかったS&P500など株価指数は何とか年初水準を上回っている程度で、低迷が予想された債券は国債から優良社債、ジャンク債に至るまで絶好調である。経済メディアが盛んに煽った債券から株への「グレート・ローテーション」が起こらなかったのは、日本だけではなかったようだ。

 昨年何度か3%にまで達した米国の長期金利は、今年は3.5%前後まで上昇するとの見方が大勢であったが、現在では2.7%程度前後で推移している。イエレン議長の失言的な利上げ前倒し発言にもそれほど動じず、先般の「事実上の前言撤回」でさらに安心感を増したようにも見える。米国株の天井感が強まるようだと、債券への資金再流入がさらに加速する可能性すら有り得よう。

 その株式市場ではモメンタム株が失速し、金融緩和長期化や企業の自社株買い、M&A増加などへの期待で最高値更新を続けてきた相場もそろそろ曲がり角を迎えたのではないか、といった懸念が強まっている。米国内経済は堅調だが、これまで大手企業が稼いできた新興国市場は当面不振が続きそうな気配だ。

 商品市場では、金価格の上昇が最大の読み違いであった。量的緩和政策の終了を前に1300ドル前後での推移となっているが、1000ドル台近くまでの低下を予想していた多くの専門家の読みは外れている。南欧諸国における長期金利も、ギリシャやポルトガルなどは予想をはるかに超えた低下スピードであった、と言って良い。

 そしてロシアによるクリミア編入とウクライナの混迷が、サプライズに揺れる市場の不透明感を益々強めている。米国覇権の低下自体は必ずしも想定外とは言えないものの、シリアからウクライナに至るまでのオバマ大統領の指導力低下は、もはや誰の目にも明らかになった。

サプライズはまだまだ続く?

 見通し大外れの市場に、これからもまだサプライズは続くかもしれない。例えば、米国のプレゼンスの低下が為替市場に与える有形無形のインパクトが、FRBの利上げ先送り観測と相まって、これまでの「ドル買い材料」とは正反対の「ドル売り材料」として、日本経済にとって無視できないトレンドを生み出す可能性が無いとは言えまい。

 米国と英国は利上げ、日本とユーロ圏は追加緩和、というのが数カ月前までのステレオタイプな市場観であった。だが英国ではカーニー英中銀総裁が懸命に利上げ思惑の鎮静化を図っており、米国では「利上げは量的緩和終了の半年後」と市場を惑わせるような発言をしたイエレンFRB議長が、先般巧みにその軌道修正を行っている。英米ともにまだ利上げの具体的イメージは浮かんでこない。

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「ディスインフレの風とウクライナの嵐」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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