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消費増税の判断を左右するエルニーニョ

2014年5月16日(金)

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 世界的に異常気象を招く恐れのあるエルニーニョ現象がこの夏、5年ぶりに発生する可能性が高まっている。気象庁が4月10日に発表した最新の『エルニーニョ監視速報』によると、エルニーニョ現象が夏に発生する可能性が高いと予測されており、市場関係者の間では景気への悪影響を懸念する声も聞こえ始めている。

 エルニーニョとは、南米沖から日付変更線付近にかけての太平洋赤道海域で、海面水温が平年より1~5度高くなる状況が、1年から1年半続く現象である。エルニーニョ現象が発生すると、地球全体の大気の流れが変わり、世界的に異常気象になる傾向がある。

 最近では2009年夏から2010年春にかけて発生した。その際、アジア全土で多雨、西日本で長期的な豪雨、北日本で寒秋となった。また、欧州・北米・中国・韓国・インドで記録的な大寒波、日本では全国的な平均気温が平年よりも高く気象庁は暖冬だったと発表したが、西日本~北日本の日本海側で一時的に強い寒波・豪雪、東日本~北日本では寒春など寒暖差が大きくなった。

 最も被害が拡大したのは93年夏から冬である。日本は39年ぶりの冷夏となり、大雨や日照不足もあって稲作を中心に農作物に被害が出た。気象庁の過去の事例からの分析では、エルニーニョの日本への影響として、気温は西日本を中心に平年より低い地域が目立つことや、降水量は平年より多い地域が多く、西日本の日本海側や東日本の太平洋側で顕著となること、さらには、梅雨明けは沖縄を除き遅くなる傾向がある、ということ等が指摘されている。

90年代以降、エルニーニョ期間の半分以上が景気後退期

 実際、エルニーニョの発生時期と我が国の景気局面はどのような関係があるのだろうか。そこで、過去のエルニーニョ現象発生時期と、景気後退局面を図にまとめてみた。すると、驚くべきことに1990年代以降はエルニーニョ発生期間と景気後退局面は実に51.7%もの確率で重なっていることが判明する。特に、91~92年と93年のエルニーニョ現象は、91年3月~93年10月まで続いた景気後退局面に含まれる。また、97~98年のエルニーニョは、ほとんどの月が97年6月~99年1月まで続いた景気後退局面に含まれている。

 潜在成長率が4%程度あったとされる80年代までなら、気象要因が景気の転換点に大きな影響をもたらすことは想定しにくかった。しかし、90年代以降になると、バブル崩壊により潜在成長率が2%程度、最近では1%以下に下方屈折していると言われる状況では、気象要因により景気の転換点に変化が及ぶことも十分に考えられよう。

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「消費増税の判断を左右するエルニーニョ」の著者

永濱 利廣

永濱 利廣(ながはま・としひろ)

第一生命経済研究所主席エコノミスト

日本経済研究センター、東京大学大学院経済研究科修士課程等を経て、2008年4月から第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト。経済統計、マクロ経済の実証分析を専門とし、内外経済の長期予測を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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