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NBAクリッパーズのオーナーは例外的存在か

アメリカの人種問題がさらに悪化したわけ

2014年5月15日(木)

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 「いいか、分かったか。黒人と寝てもいいが、試合には連れてくるな」--ゴシップ系サイトに投稿された音声データのしわがれ声。その声の主がNBA(全米プロバスケットボール協会)の名門チーム、ロサンゼルス・クリッパーズのオーナー、ドナルド・スターリング(80)だと判明するのにさほど時間はかからなかった。

 会話の相手は、クリッパーズの試合観戦にスターリングがしばしば伴っていた女友達。黒人とメキシコ人の混血美人(31歳)だ。彼女がフェイスブックに載せた、マジック・ジョンソンらとの写真をスターリングが見たことがこの会話の発端だった。

 50年前の1964年に公民権法が成立して以来、アメリカでは、職場や学校といった公の場で人種差別行為――人種、皮膚の色、出身国などを理由に差別したり、排斥したりすること――を行うと罰せられる。

 が、同法があるからといって、人種間の偏見が完全になくなったわけではない。生活環境の現場ではどっこい差別は生き続けている。

 それが証拠に、米国では「ヘイトクライム」(人種、宗教などを理由に特定の人種や団体を脅したり、襲撃したりする犯罪)があとを絶たない。ヘイトクライムを肯定する過激派団体は全米に939もある。
("Hate and Extremism," Southern Poverty Law Center)

 仲間内で人種的偏見を言い合っているうちはいい。だが、そうした「私語」がひとたびソーシャル・メディアなどに掲載され、白日の下に曝されると、これは「失言」では済まされなくなる。口走った人間の社会的地位が高かったり、影響力があったりすればするほど、それがもたらす負のインパクトは大きくなる。

 もしスターリングが年金で細々と暮らしている老人だったのであれば、世間はこれほど騒ぎはしなかっただろう。だがスターリングは不動産業で財をなし、33年前にクリッパーズを買収、有名選手をスカウトして戦力を強化し、現在5億7500万ドルの市場価値のある「企業」へと成長させたビジネスマンだ。しかも選手の大半は黒人選手。彼らがプレーしてくれるおかげで年間1億2800万ドルのカネが懐に入ってくる。皮肉なことだが、スターリングは今月、黒人社会に貢献した功績を評価され、全米黒人地位向上協会(NAACP)から表彰されることになっていた。それだけに冒頭の「私語」が社会に与えた衝撃は大きかった。
("Los Angeles Clippers on the Forbes NBA Team Valuations List," Forbes, January 2014)

スターリング発言に真っ先に遺憾の念を表明したオバマ大統領

 スターリングのこの発言を真っ先に批判した人物の中にオバマ大統領がいた。NBAに所属する各チームの幹部や選手、黒人社会の指導者も、これに続いて異口同音に怒りをぶつけた。クリッパーズの全選手は試合前の練習を始める時、練習用ウエアを裏返しにしてコートに現れた。無言の抗議だった。試合会場の内でも外でも、ファンがプラカードを持って抗議し、スターリングの即時退陣を要求した。

 全米メディアは一斉にこの老人オーナーを弾劾した。クリッパーズのスポンサーだったステート・ファーム保険をはじめとする数社は契約を即刻解除。「人種差別主義者」との係わり合いが商売に悪影響を与えることを本能的に感じ取ったからだ。

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「NBAクリッパーズのオーナーは例外的存在か」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官