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単純化した頭脳の働きを復元するために

古典中の古典『モンテーニュ随想録』を読む意味

2014年5月22日(木)

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 ド・モンテーニュのエセーは日本でも幾人もの訳者によって何度かにわたって翻訳され、刊行されてきた。しかしある時は数冊にまたがったり、ある版は訳者によって選ばれた抜粋であったりする。

 もちろん原著は世の中のあらゆることを長い期間にわたって無秩序に書き溜めたものだから、全巻の中から気ままに読んでもかまわないし、専門家である訳者が自分の立場で選んだ抜粋だって構わないだろう。

 もともと原著は序文でー自分はこの本を唯自分のため、自分の親族朋友のためだけに書いたのだから、貴重な時間をつぶすのはお止めなさい。さようなら――とさえ書いている。

 逆説好きな著者のことだから、そこで「そうですか、では読まないだけさ」と切れてしまったらそれも文字通り一巻の終わりになる。

モンテーニュ随想録』関根秀雄訳

 先に言ったように、この本自体が何の論理的な構成もなく、耳に届いたもの、観察したもの、考えたもの、ありとあらゆる人間と人間社会のことを著者なりに料理して呈示しているのだから、読む方だってひるむことなく、パラパラと頁をめくって手当たり次第に拾い読みすれば、16世紀の賢者の知恵を吸収することができるであろう。それには何巻にもわたるエッセイよりも一冊一巻の方が厚くても具合がいいかも知れない。

 というわけで、古典中の古典として讃えられるド・モンテーニュのエッセイに向き合ってみてはどうだろう。

死の直前まで書き綴ったもの全てをまとめたエセー

 ミシェル・ド・モンテーニュは16世紀に生きた、ルネサンスの生んだ賢人である。フランス、ボルドーに近いモンテーニュ城で生まれた。その家は商業を営み裕福だったが、父は政治にも関心があって、ボルドーの市長にもなった。

 大事なことは、6歳になるまで家庭教師によってラテン語で育てられたことだ。だからラテン語で書かれた当時の古典も垣根なく吸収されたに違いない。

 ド・モンテーニュはボルドー高等法院の法官を皮切りにキャリアを積んだが、37歳で辞任して城に引きこもるようになった。後に短期間ボルドー市長も務めたが、基本的には隠遁生活の中で折に触れ書き綴ったものを集録したものが、このエセーなのである。

 1572年に法官を退官したのを機に執筆をはじめ、死の直前まで本の余白への書き込みをしていたという。その全てをまとめたものが、今日私たちの見られるエセーなのだ。

 ド・モンテーニュは、この時代にフランスを中心に輩出したいわゆるモラリストを代表する一人である。モラリストは今日的な意味での道徳家や倫理主義者ではなく、広くはそれらのことも含めて、人間の生き方や考えること、多様な行動を断章、警句などの形式を自由にとって、人間とそれが作る世の中のことを無秩序に書き残した。

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「単純化した頭脳の働きを復元するために」の著者

福原 義春

福原 義春(ふくはら・よしはる)

資生堂名誉会長

1931年東京生まれ。1953年慶応義塾大学経済学部卒業後、資生堂入社。米国法人社長を経て、フランス、ドイツに現地法人を設立。1987年代表取締役社長。1997年代表取締役会長。2001年名誉会長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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