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ついに表面化した潜在的労働力不足

改めて考える人口問題(2)

2014年5月28日(水)

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 前回、人口についてもう一度書いてみようと考えた一つの理由は、人口構造の変化は「確かな未来」における「確かな課題」であるにもかかわらず、それが解決に向かっているどころか、むしろ深刻化しているように見えることだ、と書いた。今回はこの「人口問題の深刻化」という点について述べてみたい。

 これも前回述べたことだが、私は、人口構造の変化を考える時のポイントは、生産年齢人口(または労働力人口)が減少し、それが全体の人口に占める比率が低下する「人口オーナス」だと考えている。人口オーナスの下では、多くの課題が表れるはずだが、それは現実の経済社会の各面において次第に色濃く表れてきている。

人口オーナスがもたらす5つの課題

 現在進行中の「人口オーナス下の経済・社会」では、次のような5つの課題がほぼ必然的に表れる。人口オーナスの度合いが強まりつつある中で、その5つの課題は、解決されないままどんどん深刻化しているというのが私の現状診断だ。順番に説明しよう。

 第1の課題は、働く人の数が減ることによって成長が制約されることだ。「人口オーナス」とは、働く人が絶対的にも、相対的にも減少することなのだから、これは自明のことだ。この点は、アベノミクス下の景気回復が続く中で労働力不足問題として顕在化しつつある。この点については後でもう一度述べる。

 第2の課題は、国内貯蓄が減少することによって投資が制約されることだ。人口オーナスになると、勤労世代が相対的に減り、高齢世代が増える。人生のライフサイクルと消費・貯蓄行動を考えると、勤労世代は「貯蓄をする人」であり、高齢世代は「貯蓄を取り崩す人」である。すると、人口オーナスが進めば必然的に経済全体の貯蓄率は低下する。貯蓄の減少は国内投資の制約要因となり、生産性の上昇を妨げることになるだろう。

 この国内貯蓄の減少は既に相当進行している。OECDのEconomic Outlookの巻末に掲載されているStatistical Appendixによると、日本の家計貯蓄率は、1998年には9.4%だったのだが、その後みるみる低下し、2014年にはなんと0.6%にまで低下すると見込まれている。ほとんど貯蓄率ゼロの世界だ。貯蓄率には多くの要因が作用するが、人口オーナスの進展による勤労世代の減少・高齢世代の増加がその最も大きな要因であることは間違いない。

 第3の課題は、年金・医療・介護などの社会保障制度が行き詰まることだ。日本の社会保障制度は、基本的には、現在働いている人々が、現在の高齢者に対する給付を負担するという「賦課方式」を取っている。何度も言っているように、人口オーナスというのは、人口に占める働く人の割合が低下することである。すると、人口オーナス状態では、社会保障を負担する人が減って、給付を受ける高齢者が相対的に増えていく。すると必然的に賦課方式の社会保障制度を維持することは難しくなるのは当然のことだ。

 これはもうずいぶん前から分かっていたことであり、その対応の方向も明確だ。払う人が少なくなって、受け取る人が増えるわけだから、対応策は、払う人の負担を増やすか、受け取る人の受益を削るしかない。しかし、依然として有効な対策がとられるには至っていない。まさに「確かな課題」であるにもかかわらず対応していない典型的な問題だ。

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「ついに表面化した潜在的労働力不足」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官