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中国を封じ込めることは可能か?

米戦略家6人の対中観を見る

2014年5月22日(木)

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 封じ込め政策(Containment Policy)――。第二次世界大戦後、米国が共産主義の拡張を防ぐため、ソビエト連邦に対して行使した一連の政策を表す古典的外交用語である。当時米国の外交官だったジョージ・ケナンが提起した。国際情勢が東西冷戦に突入し、米ソ間でイデオロギー対立が起きていた。

 冷戦が崩壊して20年以上が経ったいま、イデオロギーが国際政治の舞台において持つ意味合いやインパクトは希薄になったように見える。少なくとも、社会主義、共産主義、資本主義、民主主義といった体制や価値観に起源を成すファクターを軸に、他の国に対して敵味方の烙印を押す時代は過ぎ去った。さもなければ、資本主義を掲げ、民主主義を世界中に普及させようとする米国と、共産党一党支配下で社会主義を堅持する中国という、イデオロギー・価値観・政治体制を異にする現在の両大国が、あらゆる分野で戦略的に協力し合い、“新型大国関係”を模索している現状を説明できなくなってしまう。

 しかしながら、である。

 中国はいまだに、かつて“同盟国”だった旧ソビエト連邦が直面した、米国による“封じ込め”をトラウマに感じているように見受けられる。

 「米国はどこまでいっても米国だ。冷戦時代にソ連を封じ込めようとしたのと同じように、中国も封じ込めようとするだろう。なぜなら、ソ連も中国も米国にとっては“紅色”をした共産主義国家であり、同時に、米国の世界覇権に挑戦できる政治力と軍事力を持った大国だからだ。敵がソ連から中国に変わっただけだ。アメリカンの本性は何も変わっていない」

 リーマンショックの直後、中国人民解放軍の幹部が北京で筆者にこう語ったのを覚えている。現在の中国において、この手の対米観は、対外的に強硬で好戦的な軍人に特有のものではない。政治家、官僚、学者、ジャーナリスト、ビジネスマン、一般大衆など、多くの中国人が「アメリカ人は“今日の中国”を“昨日のソ連”に重ねている。中国人を信用していない。中国と米国は必ずどこかで衝突すると考えているからこそ、中国が米国の勢力範囲を脅かさないように、いまのうちから中国を封じ込めようとしている。現代版のジョージ・ケナンは米国の中にごまんといる」(国際関係学を専攻する北京大学生)という認識を抱いている。

 冷戦期の米ソのような大国間の衝突を避け、協力分野を拡大していくという点において、米中間ではある程度のコンセンサスが取れている。だが、“既存の大国(established power)”である米国と“台頭する大国(emerging power)”である中国の間に存在する“戦略的相互不信”(strategic distrust)は当分の間拭えないであろう。米中間のパワーの差が日増しに縮小する昨今において、この戦略的相互不信は深まることはあっても消えることはない。

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「米中新時代と日本の針路」のバックナンバー

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「中国を封じ込めることは可能か?」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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