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日本の技術力は本当に高いのか

台頭するアジア勢への対抗策を探る

2014年5月22日(木)

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 「技術で勝っても事業で負ける」。日本の製造業に携わる方に話を伺うと、しばしば耳にする発言だ。事業が成功するためには技術だけでなく、企画や営業、販売などの総合力が必要であり、日本企業にはこうした技術以外の部分がうまくなかったという言い分のようだ。

 確かに、事業を運営するにあたり技術は一要素に過ぎないため、この発言は正しい。特に、コモディティー(汎用)化した製品分野では企画や営業など技術以外の戦略が重要になってくる。だが、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のようなこれまでとは一線を画す製品分野においては、技術が製品力に直結するもの事実だ。

 多くの日本企業にとって「技術で勝っても事業で負ける」という対象となるのはアジア各国の企業になるのではないだろうか。個別の企業名を挙げるとするならば、筆者も在籍した韓国サムスングループを思い浮かべるだろう。

 筆者の周りでも「サムスンには技術がない」「サムスンの技術はモノマネ」「サムスンの技術は2流」と表現する日本人は少なくない。個人的な感想だが、年齢が高い日本人にそのような表現が多いと感じている。1980年から1990年代のサムスンを見た、もしくはビジネスをした方々にとっては当時の記憶が刻み込まれているのかもしれない。

 実際のところ、サムスンの技術力はどうなのか。2000年以降、格段に力を高めたのは事実だ。それまでは明らかにキャッチアップ型の技術・製品開発を進めていたが、独自技術の開発から事業化なども出始めている。

高まるサムスンの技術力

 その代表例が、サムスングループが世界に先駆けて実用化に成功した有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレーだろう。スマートフォンやタブレットの表示パネルに使われ、他社と差異化できる技術として競争力を持っている。

 基礎研究はグループ会社であるサムスンSDIで開始され、2007年に事業化にこぎ着けた。黒字化を2年ほどの短期間で達成したことも評価できる。他社にはマネできないオンリーワン事業であるため、B to Bビジネスではプレミア価格でのビジネスが実現したためである。

 NANDフラッシュメモリーやリチウムイオン電池のように、日本で事業化された技術分野でも、サムスングループの存在感は高い。NANDフラッシュメモリーでは、東芝を抑えて世界首位の座を堅持。2005年ごろにサムスン電子の半導体部門のトップを務めたファン・チャンギュ氏が提唱した「ファンの法則(記憶素子の容量は毎年2倍に増える)」なる言葉まで生まれた。

 サムスンSDIが手掛けるリチウムイオン電池も、民生用では世界首位を実現している。技術があっても世界シェアトップを握れることではないが、技術がなければシェアトップにはなれない。なぜなら技術で劣れば性能に影響し、性能が低ければセットメーカーがその電池を選ぶ可能性が非常に少なくなるからである。

 最先端技術を事業化するためには、研究開発投資は欠かせない。サムスングループの研究開発投資は年々増加しており、2012年には1兆円の大台に達している。

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「日本の技術力は本当に高いのか」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師