• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

欧州はイノベーションより、リノベーション

ロンドンの“教会マンション”に見るストック再生の本質

2014年5月23日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 4月下旬、取材で出会った家具デザイナーと、ロンドン市内のパブで1杯やっていた時の話である。彼の住む近所で見かけた興味深い物件の話をしてくれた。

 その物件とは教会で、外観こそロンドンで見かける一般的な建物なのだが、どうも雰囲気が一般のそれとは違うのだと言う。朝夕になると、若い女性やスーツ姿のサラリーマンの出入りがやたらと多く、夜遅くまで内部の明かりがついている。教会では一般的な日曜日の礼拝も開かれている気配がないし、神父など教会関係者の姿も見かけたことがない。

 あまりに教会らしくない雰囲気に首をかしげていたが、しばらくして理由が分かった。

 「教会全体がフラット(集合住宅)だったんですよ。内部を改修して住宅に転用したらしいんです。でも、よく考えてみるとすごいことですよね、日本で言えばお寺を改装してみんなで住むようなものですよ」と、デザイナーが笑う。

 確かに、筆者が日本で建設・不動産業界を担当していた時には、神社にマンションを建設するプロジェクトが話題となることはあった。しかし、それはあくまで敷地内に新築物件を建てるという話である。神社や寺を改修してそのまま住む、という例は聞いたことがない。

 面白い。数日後、早速その物件を見に行ってみることにした。それが、下の写真である。

外観からは集合住宅であることはほとんど分からない

 場所は、高速鉄道ユーロスターの英国側の発着駅、セントパンクラスにほど近いイズリントン地区。その名も「St. Peters Church Court」。Courtには中庭といった意味があるが、英国では「☓☓Court」といった具合に集合住宅の名称に用いられる。地元行政区の資料によれば、この教会が完成したのは1800年代中期。それから約150年間、キリスト教の活動拠点としての機能を果たした後、1985年に住宅に転用された。

 残念ながら建物の内部に立ち入ることはできなかったが、仔細に物件を見ると、確かに生活のにおいが随所に感じられる。窓にはカーテンがかけられ、中からハンガーにかけられた衣類がのぞいている。入り口ドアには、郵便受けが備えつけられ、建物の脇にはゴミバケツが無造作に並んでいた。

 不動産情報サイトを見ると、この“教会マンション”は21部屋で構成されている。家賃は75平米のワンベッド(いわゆる日本の1LDK)タイプで月額1300ポンド(約22万円)、ツーベッドとなるともう少し値が張る。間取りや築年数を単純に比較すると、日本の賃貸に比べて割高だが、ロンドンでは決して高すぎるという水準でもない。

コメント2

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「欧州はイノベーションより、リノベーション」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

機械を売るんじゃなくて、電気が欲しい方に電気が起きる装置をソフトも含めて売るビジネスをしていこうと。

田中 孝雄 三井造船社長